給水用バルブの専業メーカーなので、機械セクターでも円高による悪影響はほとんどない。消費税アップ前の駆け込み需要や株価による資産効果で住宅販売が伸びており、水回り製品を扱うKVKの業績も上向きそうだ。

中国への生産移管によるコスト引き下げも成功しており、業績改善が楽しみな銘柄である。配当性向は20%とやや低く、増配の余地も十分残されている。




※株価などのデータは2013年5月9日現在。各ランキングの順位はテーマ解説者の注目度の高い順に並べた。直近の実績(または予想)が5月9日時点で未発表のものはアナリストコンセンサスのデータを掲載。【目標株価】は日経平均株価=1万6000円、ドル/円=105円をベース算出。【株価出遅れ度】は、株価の出遅れ感が強いほど★の数が多く、【投資安全度】は流動性や事業規模などで算出し、安全度が高いほど星が多い。【投資判断】は目標株価と現在株価の差が大きく、投資の安全度が高い銘柄が高評価とした。掲載銘柄の抽出は岡三証券、順位づけはネットマネー編集部、目標株価や投資判断などのデータはフィスコが担当。

「レンディングリスト」株を借りたい理由が買収目的なら、株価急騰に期待できる!
個人投資家にはあまり知られていないが、証券会社の間で日夜、出回っているのが「レンディングリスト」。そのデータを裏読みするという、とっておきの投資法を河合さんが教えてくれた。

「『レンディングリスト』は『貸株情報』のこと。何らかの理由で株を市場外で借りたい投資家や企業が証券会社経由で『この銘柄の株を貸してくれないか』というリストをばらまいて株を集める際に使います。カブドットコム証券の『貸株サービス』を利用すれば、個人投資家の方でも保有株を貸すことで金利収入が得られます。しかし、対する借り手側がなぜ、その株を集めたがるかの理由はさまざま。貸株をカラ売りして、株価下落で儲けたい投資家もいますが、それだけが目的じゃない場合もあります。継続的に『この株を借りられないか』とレンディングリストに記載される銘柄には、株を集めたうえでM&AやTOBを仕掛ける下準備の可能性もあるのです」

たとえば、昨年末には東証と大証の合併による日本取引所グリープの上場を控えて、両取引所の株を保有していた中堅証券会社の貸株需要が継続的に高まった。最近では、第一中央汽船や三光汽船舶といった低迷船舶会社の株の貸株需要が高まり、「海運業界の再編か」という噂が飛び交うまでに。

「当然ながら、あくまで思惑絡みの需給に主眼を置いたリストで、なかには赤字企業もあるので、株価急変時には即座に撤退できる“動体視力”が必要です」と河合さんはクギを刺すものの、思わぬお宝株を事前に仕込むチャンスかも。残念ながら個人投資家は「レンディングリスト」自体を見ることはできない。しかし、カブドットコム証券の貸株サービスにアクセスして、非常に高い金利を払ってでも借りてくれる株を探せば、なんとなく類推は可能だ。



河合達憲
カブドットコム証券 チーフストラテジスト

証券専攻の修士号を修め、マクロ分析から個別銘柄まで幅広い分析力と銘柄的中率は群を抜く。TV・ラジオにレギュラー多数。毎火曜夜のネットセミナーが大人気で毎週パンク状態に。4月から大阪国際大学及び同短期大学部の両校に講師で登壇!



この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。