【今回の質問】

「アベノミクスで日経平均株価がどんどん上がり、自分だけ乗り遅れている気がしてなりません。やっぱり株式投資はやったほうがいいのでしょうか? 会計士的な視点でのメリットを教えてください。」(会社員・35歳)

女子高生と【さおだけ屋】山田真哉の「5分間会計学」 アベノミクス効果で株価はどこまで上がるのか? 日経平均株価4万円を予想する専門家もいます。ネット証券各社には、数年間、取引をしていなかったユーザーから「自分のログインパスワードを知りたい」という問い合わせが急増していると聞きますから、とりあえずブームは本物と言えそうです。

 さて、会計士的な視点で見た場合、株式投資にはいくつかのメリットがあります。

 第一は、資産を守るためのリスクヘッジ。現金、株、不動産など、手持ちの資産の構成をポートフォリオと言いますが、資産を100%銀行預金で持っていると、インフレになった時、一気に目減りしてしまいます。このリスクを回避するため、資産の一部を株や金(ゴールド)、外貨などの投資に回すことは、賢明な資産防衛術です。

 とりわけ株は、わずかな資金で始めることができ、費用面でも、取引手数料が100円を切る会社もあり、圧倒的にローコスト。加えて、市場が開いている間はリアルタイムでの取引が可能で、売り時を逃しにくいという利点が挙げられます。

◎日本版ISAなら20%の税金も免除

 さらに、2014年1月から新たな税制優遇制度が始まります。

専用口座を開設すれば、そこで得た利益が非課税となる、日本版ISA(少額投資非課税制度)が導入されるのです。

 通常、上場株式の取引で得た利益には20%の税金が課せられます(今年末まで特例で10%)。一方、日本版ISAでは年間100万円まで、総額では5年分の500万円まで、非課税での運用が可能になります。すでに株をやっている人も、絶対活用したい制度ですよね。

株式投資から得られる収益は、大きく分けて3つあります。

 1つ目は、保有している銘柄が値上がりし、それを売却して得られる「キャピタルゲイン」。2つ目は企業が株主に対して分配する配当金による「インカムゲイン」。そして3つ目は、私が独自にそう呼んでいる「優待ゲイン」です。これは企業が株主に自社製品や優待券などを配布する?株主優待?のことです。

私の基本スタンスは、インカムゲインと優待ゲインを期待しての中長期投資。攻めか守りかで言えば、リスクヘッジに重きを置いた守りの姿勢です。

 もちろん、キャピタルゲインで利益を狙うこともあります。その際、意識するのは自分なりのルールを決め、それを遵守すること。特に、初心者にとって難しいのが?損切り?です。

女子高生と【さおだけ屋】山田真哉の「5分間会計学」 買った株の価格が予想に反して値下がりし、損失(キャピタルロス)が生じそうになった時にどう動くか。いつか上がるだろうと売り時を逃し、どんどん損失が膨らんでしまう悪循環は、ほとんどの投資家が通る道です。

だからこそ「売却ルール」を定めたい。株を買うと同時に、上がろうとも下がろうとも、いくらで売るかを事前に決めておいてほしいのです。投資額にもよりますが、普通のビジネスマンの方なら、儲けも損失も5万円か3万円ぐらいに設定するのが妥当ではないでしょうか。

 例えば、30万円の資金でA、B、C株をそれぞれ10万円分買ったとします。半年後、株価がA株14万円、B株11万円、C株7万円となったとしましょう。もし売却ルールを3万円に設定したなら、A株は利益を確定して売却、C株は損失を確定して売却、B株のみ継続保有との判断を下します。

◎判断が下しやすい金額重視主義を徹底

 この売り時の判断をプラスマイナス5%、10%などとパーセンテージ(割合)で行なう人もいますが、私は?金額重視主義?をオススメしています。

 なぜなら、割合に比べて金額を尺度としたほうが、客観的で冷静な判断が下しやすいから。

 例えば、100万円でD株と、10万円でE株を買ったとします。20%の利益か損失で売却しようと決めた場合、20%値上がりしてもE株の利益は2万円しかありません。しかし、D株が20%値下がりすると、損失は20万円にも膨らみます。

女子高生と【さおだけ屋】山田真哉の「5分間会計学」

 割合のほうが株価の上下を感覚的につかみやすいのですが、実際に稼ぐために必要なのは、割合よりも金額。D株の場合、「たった5%の下落」と思っていても、すでに5万円もの損失が出たことになります。割合は判断を迷わせます。一方、金額は絶対的な価値尺度ですから、決めた後に迷うこともなくなるでしょう。

一方、「買いのルール」ですが、決算書の分析など、いくつものテクニックはあります。しかし、一番大事なことは「この株は上がる」「○○社に有利な情報がある」といった噂を鵜呑みにせず、自らその企業の将来性などを調べる時間と労力を惜しまないこと。逆に言えば、その時間すら取れない忙しい人にも、株式投資は向いてないと思います。

女子高生と【さおだけ屋】山田真哉の「5分間会計学」

『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』

山田真哉

一般財団法人芸能文化会計財団理事長・公認会計士・税理士。160万部突破の『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』ほか著書多数。最新刊『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』(小学館刊、1365円)も5万部突破!