ジューン・ブライドの夢をかなえる花嫁が輝く6月は、多くの結婚式や披露宴が行われる。招待される身としては知人の新たな門出を祝福したい半面、ちょっぴり懐具合が気になる。

「上司がご祝儀に1万円しか包んでくれなかった」――。インターネットの質問投稿サイト「発言小町」ではこんな嘆きが聞かれた。投稿者は、29歳の看護師だ。

ハウスウエディングで、料理はひとり2万円のコース。引き出物にも「失礼がないように」高級食器やお酒などを用意した。友人たちは、それぞれ3万円ずつ包んでくれた。

本人のお金がなければ参列者から集めるしかない

招待した上司は30代後半の男性で、仕事では信頼できる人物のようだ。それだけに祝儀袋に入っていた1万円札1枚と「金壱萬円也」の文字に「イラッとしてしまいました」。期待が裏切られた形となり、「正直がっかり」と失望感をあらわにしている。

ネット上で「祝儀の相場」を調べてみた。新郎新婦との関係性や年齢、地位などを加味すると、30代後半の上司であれば確かに3〜5万円が妥当とされているようだ。1万円は「披露宴を欠席した場合」の目安の金額とされている。

投稿者に対しては多くのコメントが寄せられたが、賛否は分かれている。「1万円はあり得ない」と考える人たちは、上司に対して「常識がない」「ケチ」「残念な男」と手厳しい。

一方で「祝儀をもらうために人を集めるのか」「あつかましい」と投稿者に対する批判もある。教員のように招待される機会が多い職業では1万円で許されているという情報や、「最初から会費制にすればよかったのに」との意見もあった。

経営コンサルタントの大石哲之氏は今年4月、祝儀についての持論をウェブサイトにつづっている。デフレ経済下でも、披露宴のご祝儀の相場はなぜかバブル期の水準のまま。披露宴の費用も「高止まり」したままだという。

その理由は、結婚式には「参列者からカネを集められる」仕組みがあるから。仮に350万円の式を開いても、ひとり3万円で83人集めれば、およそ250万円が集まる。自己資金は100万円あればいいのだ。

「本人たちがお金が出せなくなればなるほど、ビジネスモデルから考えれば、ブライダル業者は多くの参列者を集める式を提案するようになり、式は豪華なものになっていく」

疎遠な人でも呼ぶ「浅ましさ」になっていないか

とはいえ、それだけ大勢の「友人」を集めることが難しい人もいるだろう。そこで発生するのが、疎遠な人でもどんどん「ご招待」する方法だ。

しかし、あまりに招待者の範囲を広げすぎると、ご祝儀を奮発しない人も中には出てくる。もしかすると「1万円上司」も、しかたなく出席した口かもしれない。招待者の「限界」を超えてしまったのか。

結婚式の二次会に呼ばれて行ってみると、本人にあいさつもできないほどの混雑ぶりに遭遇して閉口した経験のある人も多いことだろう。新郎新婦にゲストをもてなす余裕はないが、大勢の人たちに囲まれていたってゴキゲンだ。

大石氏も、数合わせのための「招待」について、「なんという浅ましさ」「ヒトの善意を食い物にしているとはまさにこのこと」と批判している。

招待されれば断れず、ご祝儀の相場を下回れば「常識知らず」と呆れられる。いっそ勇気を出して欠席できればよいが、それで人間関係が疎遠になるのも怖い――。そんな気の弱い人たちに向けて、今日も「招待状」が送付されているのだろうか。