アベノミクス相場で一本調子で上がってきた株式市場も、5月以降の調整局面で一服した格好だが、日本経済がデフレから脱却すれば株価はさらに上がる、というのは経済アナリスト・森永卓郎氏だ。

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 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」は、「期待先行ばかりで実体経済には一切影響を及ぼしていない」といった批判の声が、いまだに少なくありません。

 たとえば、一つは、こんなに円安が進んだら、輸入に頼るガソリンや食品の価格が値上がりして国民の生活が破壊され、日本経済は滅茶苦茶になってしまうというものです。

 しかし、2008年のリーマン・ショック直前の為替相場は1ドル=110円という水準でした。その時の日本人の生活が路頭に迷う寸前だったという事実はありません。しかも、今はまだその水準に戻る過程であって、かなりピントがずれた批判です。

 その証左として、総務省が4月30日に発表した3月の家計調査報告では、1世帯当たりの消費支出が前年同月比5.2%増え、2004年2月以来の高い伸びとなったことが挙げられます。

 他にも例はありますが、このように、現実の効果はないとの批判を尻目に、アベノミクスは実体経済を動かし始めています。このまま経済が順調にステップを踏んでいけば、15年にわたったデフレ経済が本当に終結に向かうと考えています。

 デフレ脱却で日経平均株価はどれだけ上がるか。まず、目先のメドはリーマン・ショック前の水準、1万8000円が目標になる。今年4月末の東証1部銘柄の平均PBR(株価純資産倍率)は1.3倍です。それに対して、先進国市場の平均PBRは約2倍、小泉政権末期のそれも1.9倍でした。もしこれが先進国水準並みに戻れば、計算上、2万5000円になってもおかしくないのです。

※マネーポスト2013年夏号