[其ノ一 株ファンダ編]黒田バズーカ砲が海外に轟いた!
4月4日の「異次元緩和」発表以来、外国人投資家の勢いが超絶モードに。これまで日本株を無視していた外国人が?とりあえず〞買っているのはTOPIX先物のようなのだが…。


外国人投資家がとりあえず狙うのはTOPIXコア30銘柄

今年の初め、ゴールドマン・サックス(以下、GS)や野村が、「海外機関投資家が日本株のウエートをアンダーウエート(弱気)からニュートラル(中立)に引き上げるだけで、日本株に5兆円強の資金流入になる」という試算を公表していました。その後4月第1週には、外国人投資家の買い越し累計額が6兆円を突破。数字上はニュートラルへの引き上げ完了、これで打ち止めになってもおかしくない中、黒田日銀総裁が?バズーカ砲〞と称される金融緩和政策を放ったわけです。

その翌週……4月8日〜12日の外国人買いは市場に衝撃を与えました。買い注文から売り注文を差し引くと1兆5865億円の買い越しで、過去最大規模。「おいおい、まだ買うのかよ!」と、そんな懐の深さを外国人に感じる今日このごろです。

これからの外国人買いの継続性は不明ですが、過去最大の外国人パワーが働いた金融政策決定会合翌週の?動き〞は無視できないものです。この期間に市場で話題になったのは「重いのが軽い」という矛盾ある動きでした。重いとは時価総額が大きいものを意味します。

たとえば、本来は動きにくいはずのトヨタ自動車をはじめ、メガバンクといった主力中の主力株のことです。外国人投資家パワー炸裂の中、本来は完全に軽いもの(=新興株)が蚊帳の外。東証の規模別株価指数でも、日々の騰落率が「大型<中型<小型」の順になっていました。

この現象が起きたとき、ひと際目立ったのがTOPIX(東証株価指数)の強さ。話題になったのが、TOPIX先物の手口情報でした。この期間において、GSが4月8日〜11日の4営業日だけで2万枚近くTOPIX先物を買い越したのです。2万枚を金額換算すると、なんと2000億円以上!

「GSだけの注文」、かつ「TOPIX先物だけ」でこんなにも買い越したとはスゴイ。

なぜTOPIX先物を買うのか?

これは、普段は日本株を触っていない、いわゆる「アンダーウエート組」の海外勢が動いているから。日本株を買おうと決めた時点では銘柄が決まっておらず、とりあえずTOPIX先物を購入。その後に現物株と交換するケースが多いといえます。交換する現物株は、手っ取り早く「日本買い」の形をつくるためにTOPIXコア30銘柄の中から選ばれるようですね。

こういった?本物の匂い〞がする外国人投資家の買いが入っているかどうかを読み取るには、?コア30構成銘柄〞(以下、コア30)と?非コア30銘柄〞(以下、非コア30)で比べることがポイントです!

コア30に大量買いが入ると、同じ業種の銘柄でも違う動きが発生します。コア30であるのセブン&アイ・ホールディングスと非コア30のローソンやファミリーマート、コア30のJR東日本と非コア30のJR東海やJR西日本、コア30の三菱地所と非コア30の住友不動産や三井不動産の値動きに違和感が……。バズーカ砲の轟音で目を覚ました眠れる海外マネーの動きにより「なぜかセブン&アイが強いのにローソンやファミリーマートは弱い」といった現象が起きているのです。





※株価は2013年5月9日現在。

【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。