これから買う投信の保有は1年間がベスト!?
投信といえば中長期の保有が前提だが、それが崩れつつある。最善策とは?


セオリーが通じない相場。上昇銘柄に乗るべし

「投資を始めたい」「投資資金を増やしたい」――。家計の見直し相談センターの藤川太さんによると、「アベノミクス効果で株価が上昇して以降、投資に関する相談が増えている」という。ただ、誰もが迷っているのが「何を買ったらいいのか」「いつ買ったらいいのか」ということ。

「アベノミクスのターゲットは明確です。不動産、自動車、電機という雇用創出能力の高い産業を集中的に支援しようとしています。だからこれらの業績は好調に転じ、それを下支えしているのが円安です。G20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)でも牽制球を投げられたものの批判は受けませんでした。円安の流れは当分続くでしょう」

では投資対象を投信に絞った場合、具体的に何を買えばいいのか。「ひとつの目安が現在上がっている銘柄です。それは純資産が増えている銘柄と言ってもいいでしょう」

?勝ち馬に乗る〞ということだが、日本の優良株にはすでに資金が流入して高値圏に到達していて怖いと思う場合、「出遅れ銘柄」を探すことをお勧めする。それは「日本株では中小型株や新興企業株です。米国リートも中古市場が動いている段階なので、これから上がるかもしれない。すでに上昇が始まっているJリートですが、海外資金が入るのはこれからと考えられるので上昇の余地がありそうです。そして新興国。先進国が景気回復途上なので、まだ資金がそれほど入っていません」ということからだ。

藤川さんの予想は、日本の優良良株にお金が流れ、次に日本の中小型株、新興企業と米国の株価が上がり、米国の不動産が上がり、新興国の不動産はバブルなのでスルーされて、余った資金は新興国の株式に流れ込んでいくというもの。「まさにバブルのシナリオ。2007年から2008年にかけてミニバブルが起こったのですが、それが再現される予感がします」と藤川さん。

欧米の不動産事情を最近視察した藤川さんは、オーストリアの首都ウィーンでバブルの兆候を見た。「都市部の物件は異常な値上がりをしているのに、郊外の物件はほとんど上がっていない。なぜかというと機関投資家、企業、金融機関、政府が金融緩和によってあり余った資金で買いあさっているからです。健全な価格の上昇とはいえません」

日本もアベノミクスによって同じ現象が起こっている。景気が回復したわけでもないのに、機関投資家や投機筋が先回りして株や不動産を買っているのだ。「個人投資家がその波に乗るのはいいのですが、健全な値上がりではないことを覚悟してください。株式投資にしてもPER(株価収益率)などの割安か割高を測る指標が役に立たない。不動産も平時は利回りで価格が形成されるのに、もう関係なく上昇している。だから割高・割安の判断ができないのです。波に乗ったまま漫然と保有していると、予想以上の高さまで連れていかれて下りる時期が読めなくなり、怖い思いをするかもしれませんよ」

買値よりも高い値段ならどこで下りてもよさそうなものだが、欲が絡むと決断力が鈍る。まだ上がる、まだ上がると先送りしているうちに大暴落という事態が一番怖い。

そこで投信を保有する場合は、今回に限っては中長期的なスタンスよりも、短期的に利益を確定することを視野に入れておいたほうがいい。

投資対象は債券とコモディティを除いて何でもありだから、逆に困ることが起こる。「セオリーが通用しないのです。普通のときならアセットアロケーション(資産配分)を組んでリスク分散します」。つまりA資産が値下がりしても、相関の低いB資産や逆相関のC資産が値上がりして損失を相殺してくれる。「ところが現在起こっていることは世界同時資産高です。世界の資産がリンクしており、分散してもあまり意味がなさそうです。分散によってリスクが下げられないとすれば、投資金額を抑えるしかありません」