分配金でも騰落率でもどちらで選んでもよし
株高のおかげで、手数料を取られるばかりと敬遠されていた投資信託が息を吹き返した。この波に乗れるかどうかで、あなたの資産の明暗が分かれる!


豪ドル債券のような先進国債券の人気は苦戦しているが、リスクは高めでも高金利が期待できる新興国債券の人気は相変わらず高いし、騰落率も悪くない。?悪くない〞と控えめなのは、日本株投信やJリート投信の成績(騰落率)が50%とよすぎるからだ。

「新興国騰落率BEST10」では、1位が「野村エマージング債券投信(メキシコペソコース)毎月分配型」で15・28%、2位が「野村エマージング債券投信(ブラジルレアルコース)毎月分配型」で14・28%、3位が「三菱UFJ 新興国高利回り社債ファンド  通貨選択シリーズ〈ブラジルレアルコース〉(毎月分配型)」で14・12%だ。この3本を分配金利回り順に並べると、順位が真逆になる。

通貨では1位のメキシコペソと、ランキング入りはしていないがトルコリラが注目されているという。「ニッチ市場が好きな投資家が水面下で買っているようです」(篠田さん)。トルコのイスタンブールが東京、スペインのマドリードと2020年の五輪誘致を争っているので、早めに仕込んでいるということか。

「通貨選択型BEST10」では1位の「通貨選択型Jリート・ファンド(毎月分配型)ブラジルレアルコース」64・40%と2位の「東京海上J−REIT投信(通貨選択型)豪ドルコース(毎月分配型)」60・33%がずぬけている。

ただ、毎月分配型として見た場合は評価が変わる。分配金利回り、分配金合計額では騰落率10位の「ダイワ米国株ストラテジーα(通貨選択型)―トリプルリターンズ―ブラジル・レアル・コース(毎月分配型)」が首位で、同5位の「野村ワールドリート通貨選択型ファンド(ブラジル・レアルコース)」が後に続く。騰落率で選ぶか分配金で選ぶか、幸せな悩みともいえる。

資金流入中・新興国関連投信の騰落率BEST10



リスク高めだけど根強い人気・通貨選択型投信の騰落率BEST10



金融緩和で不動産に資金流入ベテラン投信も復活中

世界的な金融緩和、インフレ期待を反映して、資金が不動産に流入している。

「海外リート騰落率BEST10」の1位「野村ワールドリート通貨選択型ファンド(ブラジル・レアルコース)」の25・69%。2位「ノムラ日米REITファンド(毎月分配型)」25・42%、3位「ゴールドマン・サックス 米国REITファンドBコース(毎月分配型、為替ヘッジなし)」21・56%と続く。

このタイプは古参が目立つ。2位は2004年、3位は2003年の設定で、10年前後だ。

たとえば2位の「ノムラ日米REITファンド〜」は2007年に1万4800円台の最高値をつけた後、リーマン・ショック後に3700円台まで下がり、現在は6000円台まで戻すという波瀾万丈な基準価額。分配金利回り4・72%、為替リスクはドル・円限定だ。3位の「野村ワールドリート〜」は分配金利回り22・02%だが、なじみの薄いブラジルレアルの為替リスクを取ることになるから悩ましい。

新規設定投信に資金が集まるのは毎度のことだが、今回は「知名度の高いファンドにも資金が入っています」と篠田さん。そこで「長寿ファンド騰落率BEST10」ランキングも作成した。6位の「MHAM株式オープン」などは1976年設定の古参。

1位は1999年設定の「JPMザ・ジャパン」で51・25%、2位は1995年設定の「日本トレンド・セレクト〈ハイパー・ウェイブ〉」で42・37%、3位は1999年設定の「新世代成長株ファンド」で34・55%。なお「MHAM株式オープン」の基準価額が751円と低いのは、基準価額が1000口当たりの表示(通常は1万口当たり)のためだ。

グローバルで不動産が上昇・海外リート投信の騰落率BEST10



頼れるベテランが復活中・長寿ファンドの騰落率BEST10



※データはすべて2013年3月末現在。ランキングは2013年1〜3月の3カ月間の騰落率をもとに、純資産総額が100億円以上のファンドの中から算出。分配金利回りは2013年の年率換算。販売手数料は税抜きで上限を記載。出所:リッパー・ジャパン

篠田尚子
トムソン・ロイター・マーケッツ

慶應義塾大学法学部卒業。リッパー・ジャパンに所属するファンドアナリスト。情報量の多さと分析の鋭さは天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。