上海榕源環境科技有限公司の林丹総経理(社長)【撮影/大橋史彦】

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2006年に中国移住。蘇州、北京、広州、そして08年からは上海に在住。情報誌の編集長を務める大橋さんが目にした、尖閣問題以降の中国人親日企業家たちの苦悩とは?

「日本技術」――強みのはずが一転、“足かせ”に

 微小粒子状物質「PM2.5」を代表とする大気汚染が深刻化するなか、日本ほどではないにしろ、中国でも住宅などの室内環境が見直されるようになってきた。これまでほとんど注目されることのなかった日系メーカーの空気清浄機が飛ぶように売れ、中国メーカーがこぞって市場に参入しはじめるほどだ。

 空気洗浄機に限らず、消臭、除菌、抗菌など、室内環境を改善する商品や技術は、日本企業の得意とするところだ。「日本技術」の謳い文句には、中国でも一定の吸引力がある。ところが、日本政府による尖閣諸島(中国名:釣魚島)国有化に端を発する反日デモ直後は、それが逆に“足かせ”となる。日本の商材を販売する林丹さんにもその試練が襲った。

日本でコンサル会社を創業、ベンチャー企業のニーズを汲み中国に逆進出

 福建省出身の林さんは、先に日本で暮らしていた従兄弟の影響で日本に留学。語学学校などを経て中央大学に入り、同大学の大学院にも進んだ。修了後、そのまま日本で就職したがすぐに辞め、中国進出を支援するコンサルティング会社「C&N国際」を創業。それがいまの事業につながっている。

 C&N国際の主な顧客は中国に技術を売り込みたい日本のベンチャー企業で、とりわけ多かったのが、室内環境を改善する商品を開発している企業からの引き合いだった。1990年代からシックハウス症候群が問題となっていた日本では、そのためのノウハウが蓄積されていた。

 日本には技術力を持ったベンチャー企業がたくさんあるが、単独で海外進出する体力はない。しかも当時、中国ではそうした環境関連分野への関心が低く、パートナーとして手を挙げる企業も見つからなかった。そこで林さんは、自らが展開しようと思い、2008年、上海に「上海榕源環境科技有限公司」を設立したのだった。

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