進化を続ける「新ジャンル」飲料

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「定番」が強い「新ジャンル」に新しい風が?――ひと昔前までは「新ジャンル」のアルコール飲料というと、「何かが物足りない」「後味がいまひとつ」といった声も多く、値段に惹かれてビールの代わりに飲むものというイメージが強かった。

ところが最近では、各メーカーが先端技術を投入し、しのぎを削ってきたこともあり、「新ジャンル」登場初期と比べて段違いに味が向上している。「新ジャンル」と謳っているが、このカテゴリーの商品が最初に登場したのは2004年、それから約10年も経過した。これまでの「新ジャンル」の歴史を振り返りながら、現在の到達点を探る。

2003年の酒税法改正から始まった

「新ジャンル」登場の背景には、2003年の酒税法改正がある。ビールより税率の低い発泡酒がそれまで好調だったが、同法改正により発泡酒の税率が上がった影響で、麦芽以外の原料を用いた新アルコール飲料の開発にメーカー各社は乗り出した。

第1弾として2004年、えんどう豆由来の「エンドウたんぱく」を原料とした「サッポロ ドラフトワン」(サッポロビール)が発売された。その後、キリンビールからは原料に「大豆たんぱく」を使用した「のどごし<生>」が登場するなど、麦芽の代わりに別の原料を使用したアルコール飲料が次々に発売された。

2007年ごろからは、発泡酒に麦原料のスピリッツを加えたリキュール型の新ジャンル飲料が盛り上がってきた。麦芽以外が原料のタイプは一般に「すっきり感」が消費者に受け入れられていたのに対して、リキュール型は使用量に制限はあるが麦芽を使用でき、「飲みごたえのある味」を作り出せる。税率を抑えて割安ながら「ビールのような味」を求める消費者の声に応えた飲料だ。リキュール型は、最近では売り上げの上位に「定番」の商品が並び、新製品の出るペースは落ちないものの盛り上がりに一服感が出てきた。

そうした中、「これでいいではなく、これがいい。新しいスタンダード」と自信を見せる新製品が登場した。キリンビールが120年以上培ってきたすべてが凝縮されているという「キリン 澄みきり」だ。刀をイメージした落ち着いたパッケージが、ギラギラとした商品の多いなかで逆に目を引く。2013年5月の発売開始以来、わずか1週間で100万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を突破し、好調なスタートを切った。どこが従来製品と違うのか。キリンの担当者に話を聞いた。

「これだけ基幹ブランドのコアな技術を盛り込めたのは珍しい」

「キリン 澄みきり」は、「キリンじゃなくちゃつくれないものを、もう一度つくろう。」というコンセプトのもとに開発された。マーケティング担当者の北島苑さんによると、「キリンラガービール」のホップの知見や、「キリン一番搾り生ビール」の麦へのこだわり、「麒麟淡麗<生>」の大麦のうまみを引き出す技術を活用した。また、麦本来の味を引き出す新酵母を採用することで、「しっかりと麦の味わいがしながらもキレがある、毎日飲んでも飲み飽きない味」になった。麦100%(※麦芽・大麦・大麦スピリッツを使用)ながらも味が重くないという、通常ではトレードオフになる要素を兼ね備えている。

また、同社の土屋義徳さんは開発過程について、

「これだけ基幹ブランドのコアな技術を盛り込めたのは珍しいケース。新しいスタンダードを作ろうとしたことで、結果的に、王道を行く主力ブランドの知見が活かされました」

と話す。

麦100%の新ジャンル商品は他社からも出ているが、「重たく感じて飲み続けられないものが多いです」と北島さんは言う。対して「澄みきり」は、「麦の純粋なおいしさだけを取り出しました。雑味や重たさ、嫌な癖を取り除き、飲みごたえありながら、飲みやすく仕上げました」と笑顔で断言した。