昨年11月から続いてきた株高・円安の流れが逆流を始めた。果たしてこれはアベノミクスが限界を迎えたということなのか。同志社大学大学院ビジネス研究科長・教授の浜矩子(はま・のりこ)氏が解説する。

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 今回の株価暴落ではっきりしたのは、アベノミクスの「効果」は、なかったということです。確かに、1〜3月のGDPは前期比プラス0.9%で、年率換算で3.5%増のプラス成長でした。株価が上がり、上場会社の含み益も大きくなったことから、個人レベルでも消費の機運が高まったのでしょう。

 富裕層ではない普通の市民のなかにも、超低金利の中で、おとなしい投資をしていたのでは収益が上がらない、この際、アベノミクス相場に乗ってみようかと投機に走った人も多かったはずです。

 が、その「夢」に浮かれていた矢先に、今回の株価暴落が起きました。「アベノミクスで株価が上がる」という声に押され、株に手を出した個人が痛めつけられた。これがアベノミクスの本質だと思います。

 そもそも、安倍首相らは、アベノミクスの目的を「デフレ脱却」だと説明していますが、これが誤りなのです。金融緩和や財政出動でデフレ脱却はできません。

 指摘しておかねばならないのは、アベノミクスは、実はバブル経済を生みだすことで実態にそぐわない経済活況を作り出し、それでデフレから脱却させようとする政策だったということです。

 しかし、バブルはあくまでバブル、いずれ弾けます。今回の株価暴落は、すでにバブルが破綻し始めたことの象徴です。その結果、普通の市民を含む多くの投資家が、痛手を負った。このことは、「アベノミクスの副作用」という向きもありますが、その見方は誤りで、これこそがアベノミクスの「本作用」なのです。

※週刊ポスト2013年6月21日号