男女の友情は成立するか。今日もどこかの居酒屋で話し合われていそうな永遠の問いです。

 一時的に友情が成立していても、最終的にどちらかが恋心を抱いてしまうことはよくあること。また、双方が恋心を抱く場合も。なかには、恋心を抱いた方が、その気持ちをずっと心の奥にしまい続けたために成立した友情もあります。厳密に言えば、しかし、これは友情としては不成立なのかもしれません。男女の友情とは限られた人たちにしかできない難しい関係。誰にも迷惑をかけず、当人同士が納得しているのであれば、友情は成立しても、しなくても、どちらでもいいのかもしれません。

 よしもとばななさんの書籍『さきちゃんたちの夜』の「スポンジ」に登場する早紀は、出産を目の前にひかえている編集者。そんな早紀には、結婚する前までは、「ともだち」と言える2人の男性がいました。元々友人だった飯岡くんと、その飯岡くんに紹介され、自身が編集を担当することになった物書きの高崎くん。男性の2人は恋人同士(ゲイ)という奇妙な関係ですが、3人は居心地の良い時間を過ごしていました。

 毎日のように一緒にご飯を食べて、川縁のベンチで並んで座りコーヒーを飲みおしゃべり、うたた寝することも。早紀にとっては、当時は「お祭り」のような時間でした。しかし、お祭りには終わりがあるもの。やがて別々の道を歩みだした3人は疎遠になっていくのです。とくに結婚をした早紀は2人と離れた生活を送ることに。

 そんなある日、飯岡くんから早紀に一本の電話が。「高崎が死んでいるかもしれない」。再会した早紀と飯岡くんが、中目黒にある高崎くんの家に向かうと......。

 書籍『さきちゃんたちの夜』には、男2人・女1人の友人関係を築いた早紀をはじめ、紗季・沙季・咲・崎・さき、と異なる"サキ"が登場。生きづらい時代を、前を向いて丁寧に生きようとする人に贈る、5つの物語による短篇集です。



『さきちゃんたちの夜』
 著者:よしもと ばなな
 出版社:新潮社
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