掃除や洗濯など、家事を代行するサービスの利用者が広がっている。共働き世帯や高齢者世帯に加え、若い一人暮らし世帯の利用も増えているのだ。いま家事代行業者は、料金を抑えた単身者向けサービスを充実させつつある。景気が上向き残業が増え、家事の時間がとりづらくなっていること、プロに掃除してもらうことで省エネにもつながるなど、利用する側の動機も多様化している。

 都内に住む30代独身男性は、ベアーズが手掛けるワンルーム向けプラン「ベアーズONE」を月1回利用している。90分で5500円。「今年に入り仕事が忙しくなったので、思い切って頼みました。掃除に時間を取られたくないですから。料金も、思ったより安いという印象です」と語る。2010年の国勢調査によると、日本の30〜34歳男性の未婚率は約47.3%、35〜39歳は約35.6%、40代は約25%。都市部になると40代でも30%近くが未婚者であることを考えると、働き盛りの一人暮らし世帯市場は大きい。

 とはいえ、家事代行を利用するのは仕事で忙しい人ばかりではない。横浜市の40代女性は、夏本番前にエアコン・クリーニングを利用する。背景にはエコ意識の高まりがあるようだ。「フィルター掃除くらいは自分でできますが、分解して掃除なんてムリ。一年に一回、徹底的に掃除してもらっていることで、エアコンの効きが良いですし、長持ちもしていると思います」。

 この女性が利用しているのは、家事玄人の「すやすやエアコンカビ取りパック」(1万2600円)だ。内部の熱交換器、ファンに潜む汚れや細菌類までを、専門の洗剤を使用して除去してくれる。家事玄人の家事代行サービスは、ビッグカメラなどの実店舗で、商品を買うようにチケットを買って電話で申し込む。この気軽なスタイルが受けているようだ。

 家事代行という言葉からはイメージしにくいが、片付けを目的としたサービスも登場した。不用品回収を展開するエコランドの「お片づけサービス」は、プロがコンサルティングを行った上で、部屋を片付けてくれる。さらに、不用品と認定されたものは最大限リユース・リサイクルに回され、ものによっては買い取りもあるというシステム。掃除と、昨今ブームになっている断捨離と、そしてエコがセットになったお得なサービスは、シンプルプラン(1時間程度)で、6300円だ。

 家事代行サービスの市場規模は1500億円規模と推定されており(野村総合研究所の調査/2010年度)、高齢化や生活スタイルの変化で、今後、さらなる成長が期待されている。総務省の「家計調査」によると、一年間に家事代行サービスに対して支払った世帯あたりの金額の平均は、2人以上世帯で1067円、単身世帯で2105円(2012年)。近年は、高齢者の一人暮らしの増加もあって、単身世帯の利用金額が伸びている。

 かつては、家事代行サービスを利用するのは一部の富裕層、あるいは、よほど家事ができない怠け者、というイメージが強かった。その敷居が下がってきた現状について、消費生活アドバイザーの和田由貴さんは、こう分析する。

「単身者の利用が増えてきた背景には、まず、料金の低価格化があると考えられます。気軽に頼んでみよう思える価格になってきました。たとえば、洗濯物を集荷・配達してくれるクリーニング・サービスなどは、専用バッグ単位での一律料金ですから、単品でクリーニングに出すより、お得になることもあるんです。

 もう一点は、プロでないと掃除ができない電気機器などが増えてきたこと。たとえば換気扇は、昔は単純なプロペラ型でしたが、いまはシロッコファンなど高機能化したことで、素人では掃除が難しくなってきています。単身世帯に限ったことではありませんが、家庭用器具の変化も、背景にあると思います」

 さらに、家事に対する価値観の変化を挙げる。
 
「家事は自分でやらなくちゃ、という価値観が薄れてきたことも影響していますね。ただ、プロに頼むことで、そんな方法があったのかと、掃除の仕方を学んだりもする。人に頼むことで、かえって、家事に対する意識が高まることもあるようです。実践の力は大きくて、片付け本を何冊読んでも部屋が綺麗にならなかった人が、目の前で片付けられていくのを見ているうちに、自分でも片付けられるようになったという話も聞きました。

 今後はますます、多忙なときだけ頼むとか、苦手な場所の掃除だけ依頼するなど、賢い利用者が増えていくと考えられます」