モザイクをかけるだけで、印象変わりますか?

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写真や画像、映像、動画などにボカしを入れて処理する「モザイク」。顔や個人情報を表示させないためだったり、場所を特定させないためだったり、車などのナンバープレートを隠したり、卑猥なものを隠したりと、用途はさまざまだ。

そんなモザイク処理の需要が、様々な方面から高まっているらしい。

今は一般人でも、PCを使って、モザイクをかけたいところをクリックして選択するだけで簡単に加工できるフリーソフトなどもあるけれど……。実際にどのようにモザイク処理しているのか、モザイク処理を日々行うデータ加工業者に聞いた。

「私の場合、卑猥なもののモザイク処理が非常に多いんですが、その箇所を探し、モザイクをかける範囲を指定して加工し、保存、という繰り返しです。毎日ソレばかり見ているので、うんざりします。あまり見ないようにしながら、機械的にやっていますが。実は、局部などが全然出ていない画像でも、モザイクをかけることによって、いかにも出ているように見えるようにしろという注文もけっこうあります」

確かに、モザイクがかかっているだけで、「うつってはいけないものがうつっている」ように見えるというのはよくあること。モザイクによって、自然と「いかがわしいもの」「エロいもの」の雰囲気が醸し出されるという心理的な面を利用し、実際には普通にズボンをはいている画像をHなもののように見せるというのは、ちょっとした詐欺のようだ。

ところで、この「モザイク処理」の作業が、特に動画においては昔に比べて面倒くさいものになっている面もあるらしい。

「アナログの時代には、映像のフィルムに、上からモザイクを重ねるという方法でしたが、デジタルになると画像1点ずつを処理していかなきゃいけないから、手間がかなりかかるんです。デジタルの場合は、ものすごく細かいパラパラマンガみたいなもので、1つ1つを処理していくことになるんですよ。

特に大変なのは、走行中の車を追いかける動画。ナンバープレート部分をモザイク処理するとき、アナログだったらだいたいの場所に上からかぶせれば良いのに、デジタルは動きに合わせてモザイクをかけたい部分を追い、加工していかなければいけません」

デジタルでは、自動的に顔を認識したり、自動補正してくれたりする時代。モザイク処理に関しても、「消したいもの」「ボカしたいもの」「隠したいもの」の色やカタチのパターンなどをあらかじめ入力しておくことで、自動的に探し当てて一括処理するといったことが、できそうな気がするけれど……。

「理論的にはできると思いますし、優秀なプログラマーが手掛ければ、技術的にも、さほど難しいことではないと思います。でも、優秀なプログラマーは、そういったプログラムの開発には関心がないこと、また、そこにお金をかける会社もないことが現状ですね」

確かに、情熱を注ぐとしたら、「モザイクをかける」技術よりも、「モザイクを外す」技術の開発のほうだったりして……。

「モザイク処理」の需要はたくさんあるけれど、意外と地道な作業のようです。
(田幸和歌子)