没後40年 再び脚光を浴びるブルース・リーの伝記映画2本が日本で初公開へ

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「アメリカ映画で中国人というと、いつだって弁髪で腕を組み、つり目をした男が出てくる。わたしは心に誓った。今こそ米国で、東洋の偽りのない姿を見せることのできる作品を作るんだと」(ブルース・リー

 ブルース・リーの師であったイップ・マンを題材にした『グランド・マスター』(ウォン・カーワイ監督)が公開され話題となっているが、そのブルース・リーの没後40周年を記念して、彼の生涯を振り返る2本の映画が今年日本で公開される。1本はブルース・リーの実弟であるロバート・リーが製作総指揮を務めた、若き日のブルース・リーを描く香港映画『李小龍 マイブラザー』(2010年)で、もう1本は米スパイクTVが12年に制作したドキュメンタリー作品『アイアム ブルース・リー』だ。どちらも日本初公開となる。

 先に公開される『李小龍 マイブラザー』はブルース・リーが京劇一家の息子として巡業先のサンフランシスコで誕生し、香港での少年期・青春期を経て、18歳で再びアメリカへ旅立っていくまでの日々を、実弟ロバート・リーの視点から描いたドラマ作品だ。ブルース・リー役でアーリフ・リーが、ブルース・リーの父役で、『愛人/ラマン』などで知られるレオン・カーフェイが出演している。

 映画として予算もそれなりにかけられた、かなり完成度の高い作品で、ブルース・リーのファンでなくとも、またブルース・リーのことなんてまったく知らないという人まで楽しめるのではと思えるほど、その内容は充実している。ストーリーそのものはオールド香港を舞台にし、ブルース・リーを主人公にした青春劇で、クライマックスに大掛かりなアクション・シーンを挿入するなど、1本のエンタテインメント作品としてもうまく話が構成されている。劇中に登場する1940年代〜50年代にかけての古き良き香港の街並なども美しく再現されていて見事だ。

 もう1本の『アイアム ブルース・リー』の方は、子役スターだった黎明期の作品から、『グリーン・ホーネット』など渡米後に出演したアメリカのテレビドラマ、さらに『燃えよドラゴン』など一連の代表作の映像を随所にちりばめたドキュメンタリー作品。ブルース・リーのインタビュー映像としては貴重とされる『ピエール・バートン・ショー』(71年/カナダ)でのコメントや、ミッキー・ロークをはじめとした各界の著名人、夫人のリンダ・リー、また、ブルース・リー作品でもおなじみの格闘家ダン・イノサントのコメントなどから、その生涯が克明に語られる。時代としては渡米後から死までにかなり重点が置かれているので、『李小龍 マイブラザー』と『アイアム ブルース・リー』を両方チェックすると、ちょうどリーの誕生から死までをよく知ることができる。

 特に『アイアム ブルース・リー』の方はブルース・リーの肉声に改めて触れることができて嬉しい。ブルース・リーが生前残した言葉は相変わらず力があり、普遍的だ。当時、アジア系スターの前例がほとんどなかったアメリカにおいて、どんな葛藤を抱き、どんなことを考えながら作品を作り上げていったかなど、ブルース・リーを取り巻く環境についても、アメリカ側の視点からさまざまな考察がなされていて興味深い。ファンにとってはブルース・リーを知る貴重な資料のひとつとなることは間違いない。

 近年は再びカンフー映画のブームが到来しようとしている。『グランド・マスター』がヒットし、先日はロバート・リーが『李小龍 マイブラザー』のPRのために来日もした。ジャッキー・チェンも相変わらず映画界でその存在感を発揮しているし、香港式のアクションスタイルをハリウッド作品の中に見ることも少なくなくなった。ブルース・リーの影響は今も生きているのだ。ブルース・リーを知る世代も、知らない世代も、今この時期にもう一度ブルース・リーの足跡に触れてみてはどうだろう。時代が混沌とし、経済の先行きが見えない今だからこそ、ブルース・リーが当時抱いた感情、挑戦心が、現代を生きる我々に新たなヒントを与えてくれるような気がして仕方が無いのだ。
(文・名鹿祥史)

『アイアム ブルース・リー』は6月22日、また『李小龍 マイブラザー』は7月13日に、それぞれ新宿武蔵野館にて上映

『アイアム ブルース・リー』『李小龍 マイブラザー』
作品情報
http://www.brucelee2013.com/
予告編
http://youtu.be/h2d4oG0fax4