FRBの量的緩和策の今後について

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FRB(米連邦準備制度理事会)は昨年9月以降、量的緩和策の第3弾、いわゆるQE3として、米労働市場の継続的な改善を見通せるようになるまで、毎月850億米ドルの資産購入を無制限に続けています。下図が示すとおり、量的緩和策に伴なう大量の資金供給は、米国の景気下支えに寄与すると同時に、株価上昇の背景の一つともなってきました。ところが、今年の5月以降、FRBが量的緩和策の縮小・終了へと舵を切る時期に注目が集まりだすと、そのタイミングを巡る観測の振れや強弱に応じて、米国はもとより、世界の金融・資本市場までもが揺さぶられ、時にはファンダメンタルズとかい離した動きも見られるようになっています。

こうした状況を踏まえ、今回、米国の量的緩和策の今後と金融・資本市場への影響について、考えをまとめました。これは、弊社の総意ではなく、私の見解ですが、FRBは量的緩和策を終わらせることを急ぎ始めており、恐らく、多くの人が見込んでいるよりも早期の終了を考えているとみられます。ただし、そうした意向を率直に公言すれば、市場の大きな動揺につながりかねません。そのため、FOMC(連邦市場公開委員会)後の声明や、FRB関係者からのコメントは今後、そうした意向を匂わせつつも、かなり曖昧な表現になると予想されます。

なお、リスク資産市場がこれまで以上に大きく調整するような場合には、早期の量的緩和策の縮小・終了に向けた動きは見送られることでしょう。ただし、先月末に発表された、4月の米個人所得・消費支出や、今週初めに発表された、5月のISM(供給管理協会)製造業景況指数などの経済指標に見られた弱い動きは、足元の米国景気の状況を正確に映していないと考えられ、それらがFRBの姿勢転換の時期に影響を及ぼしたとは思えません。同国経済、特に住宅市場は、連邦政府の強制歳出削減にもかかわらず、非常に堅調とみられます。

量的緩和策の縮小・終了に向けてFRBがまもなく動き始めるということになれば、世界の市場に流れ込んでいた過剰流動性が減少するとの懸念や、これまで見られてきた投機的な動きが巻き戻されるとの見方が、世界の市場を揺さぶる大きな要因になると考えられます。このため、向こう3ヵ月から半年程度は、FRBの政策姿勢を巡る観測などを注視し、市場が大きく動揺する可能性に備える必要があるとみられるものの、その後は、経済や企業のファンダメンタルズに投資家の注目が戻り、それらの動向が市場を左右することになると考えられます。

(※上記グラフ、データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。)

(2013年6月5日 日興アセットマネジメント作成)

●日興アセットマネジメントが提供する、国内外での大きなイベント発生時の臨時レポート「フォローアップ・メモ」からの転載です。→「フォローアップ・メモ」