2013年度税制改正関連法案が成立し、相続税の課税対象者が大幅に増える見通しだ。これまで資産家など大金持ちにしか縁がなかった相続税が、ごく一般的なサラリーマンにもかかるようになった。すると、争族トラブルがより身近になりそうだ。

 そのひとつが、養子縁組が意図しない方向に向かうことだ。司法書士の川原田慶太氏が起こり得る問題を解説する。

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 養子が1人増えると法定相続人が1人増え、現行制度では非課税枠が1000万円増えるので、相続税対策として娘の夫や孫を養子に迎えるケースはよくあります。 しかし、法定相続人の数が増えるデメリットを考えないとトラブルを引き起こします。

【ケース:父親が亡くなったA家では、事前に長男夫婦の孫2人を母親の養子にし、法定相続人の数を増やして相続税対策としていた。やがて2人の孫は成人し、結婚。その後、母が引き継いだ複数の不動産を含む財産を将来(母の死後)どうするかという話になった時に、孫2人がそれぞれ「俺はあのマンションが欲しい。自分には権利がある」と勝手なことを言いだした。話し合いは収拾がつかず……】

 法定相続人を増やせば税が減額できる半面、感情の問題も噴出します。養子である孫たちが権利を振りかざすだけでなく、他の兄妹から「なんでお兄ちゃんのところの子供だけが養子なの?」と不満が出ることも。

 リスクを考えずに養子縁組をすると、骨肉の争いの火種となるのです。

※SAPIO2013年6月号