サイバーエージェントの沿革をストーリーで表すと……

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■箱根で1泊2日の事業プラン会議

必ず儲かる商売のネタを見つけるにはどうするか。それには儲かる商売のネタを考え出す機会を設け、それ自体を仕組み化することが大切です。

当社の場合、こうした仕組みの1つが、私も含めて役員8人と選抜社員が集まって新規事業プランを出し合う「あした会議」です。これは1泊2日の泊まりがけで箱根に行き、準備してきた事業プランについて役員をリーダーとした各チームが3つずつ発表するというものです。

2003年から始め、最初のうちは参加者が互いに投票して順位を決めるコンテスト形式で開催していました。しかし、それだけではプレゼンで勝って終わりです。そこで、08年からは真剣な決議の場に変えました。

単にプレゼンで勝つだけでなく、ビジネスプランに実現性と責任を伴う形にしたことで、一気にパフォーマンスが向上し、1回の会議で十何個もの新規事業がスタートするようになりました。

今では、広告代理店部門のあした会議や、アメーバ事業本部のあした会議など、事業部ごとのあした会議が頻繁に行われています。そのほかにも年に2回、全社で行う事業プランコンテスト「ジギョつく」があり、1回に350案ほどのアイデアが出されます。

こうした仕組み化がなぜ必要かというと、商売のネタを考えるには締め切りを設定しないと難しいからです。

ただ漠然とネタを探そうと思っていても、締め切りがなければ、普段の仕事に追われてうやむやになるだけです。締め切り日というプレッシャーがあるからこそ、その日までになんとか形にしようとがんばるわけです。じつは、あした会議を始めたのも、自分の脳を追い込んで、つねに新しいアイデアを生み出せる状況にしておきたかったからです。

また、ネタを考えるのが苦手だという人は、考える癖がついていないだけのことが多いものです。

商売のネタを考えるには、組織全体を見渡す視点が必要ですが、営業やマーケティングなど分業化された組織で働いていると、どうしても視野が狭くなってしまいがちです。しかし、いくらで仕入れていくらで売れば儲かるといった、ゼロから商売を立ち上げることを想定する癖をつけるだけで、ネタは誰でも考えられるようになります。そればかりでなく、回数を重ねるごとに考える力も上がっていきます。

こうした機会が設けられていれば、普段から物事を見る目も変わってきます。たとえばゲームに接しているときでも、ネタを考えようという意識が頭の片隅にあれば、ヒントを探しながらゲームに触れるはずです。

ゲームオタクと呼ばれるような人が1日中ゲームを触っていたからといって、商売のネタというのはけっして生まれません。消費させられる側でなく、生産する側に回るには、ゲームであれ、マンガであれ、つねに考えながらモノに触れていることが大切なのです。

人は年齢を重ね、会社内での階層が上に行くほど、自分を追い込むことが面倒になり、アイデアを考えたり、新しいことに挑戦するのを厭いがちです。その結果、時代に淘汰されてしまう。

わが社では2年に1度、役員の改選があり、8人のうち2人が必ず入れ替わるルールになっています。ですから役員は必死です。これもまた、自分たちを追い込むための仕組みなのです。

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サイバーエージェント代表取締役社長CEO
藤田 晋
1973年生まれ。主力事業の「Ameba」は会員数1800万人を突破。著書も多数。近著に『藤田晋の成長論』。

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(サイバーエージェント代表取締役社長CEO 藤田 晋 構成=前田はるみ 撮影=葛西亜理沙)