阿部サダヲと菅野美穂が夫婦役で初共演

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絶対に不可能と言われていた、りんごの無農薬栽培を足掛け11年で成功させた実話の映画化『奇跡のリンゴ』(6月8日公開)。本作で、阿部サダヲと菅野美穂が、夫婦役で初共演。困難なりんご作りに人生を懸けた主人公・木村秋則役を演じた阿部と、内助の功を体現した妻役を演じた菅野にインタビューした。

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木村秋則の波乱万丈な生き様は、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられ、原作もノンフィクションとしては異例のベストセラーとなった。ふたりは真実の物語に、とても心を動かされたそうだ。阿部は「不可能に近いことに挑戦していくことはすごいこと。木村さんご本人はすごく明るい方ですが、当時は、『諦めた方が良いんじゃない?』という自分と、『まだ行ける!』という自分が出てきてしまったらしく、僕が演じるのは、その弱い部分が出てきた木村さんなんだと思って演じました」と語った。

菅野は、「本を読んだ時、たくさんの困難があったんだと初めて知りました」という。「木村さんの怒涛の人生を阿部さんが体現され、私はそれを見守る奥さん役ということで、何となく岩手県にいる親戚のことが目に浮かびました。黙って傍にいるという、雪深い地方の人たちならではの忍耐強さを感じたんです。旦那さんが辛い時、『大丈夫よ』と言う方がよほど楽なんだろうけど、その言葉が、旦那さんを追い込むことになることをわかったうえで黙っている。ただただ、すごいなと思いました」。

メガホンを取ったのは、『ゴールデンスランバー』(10)、『チーム・バチスタの栄光』(08)の中村義洋監督で、現場ではかなり阿部を追い込む演出をしていったそうだ。阿部は「(演じた木村秋則は)もうちょっと悩んでいたんじゃないでしょうか?とか、ポツリポツリと言われるんです」と苦笑い。菅野は「どんどん人生を追い込まれていく木村さんの役を演じるから、阿部さんのことも追い込んでいったんでしょうね」と言いながらうなずく。

ベテラン俳優・山崎努とも初共演となったふたり。阿部は「最初は怖いのかなと思っていました」と振り返ると、菅野も「やっぱり緊張しますよね。山崎さんと一緒の作品に出るんだ!という感じで」と同意する。菅野は山崎について「目を合わせるだけで、どしんと重さを感じる方」と表現した。「自分が年を取った時、こういう目力を身につけていられるんだろうかと思いました。ラバウルの戦争を語るシーンを試写室で見た時、再現映像があるわけでもないのに、鮮やかに迫ってくる感じがしました。含みというか、求められている以上の表現をなさるのですごかったです」。

同シーンで共演した阿部も、「あのシーンはリハーサルの時から完璧で、びっくりしました」とうなる。「間が、ただの間じゃないのがすごいというか、こっちが映像を浮かべることができる間になっているんです。僕が間を取ると、『あいつ、セリフを覚えてないのかな?』と思われるんでしょうけど」と阿部が言うと、菅野は「そんなことはないです」と笑って否定。阿部は続けて「でも、遊び心もあるんです。最後に、りんごを握り締めるところも、監督に『りんごの握りはカーブ?ストレート?』と言われていて(笑)。すごく優しい方です」と称える。

また、演じた木村夫妻について、阿部は「奇跡みたいな夫婦。理解できないほどの純愛です」と答えると、菅野も「木村さんが奥さんについて、地球上で一番だと言われていました。無敵のご夫婦です」と感心する。確かに、想像し切れないほどの苦労を乗り越え、見事に無農薬のりんごを実らせる夫婦の姿は、奇跡という言葉がぴったりはまる。何事も諦めないことの大切さ、そして人生そのものの輝きを教えてくれる本作は、まるで丹精を込めて育てられたりんごのように、とても実の詰まった作品となった。【取材・文/山崎伸子】