ASEANでトップクラスの成長率。格付け変更で海外からの資金が拡大
今年に入ってからも史上最高値を更新し続けるなど、好調が続くフィリピン株。力強い成長力や政治リスクの後退が外国人投資家の買いを促しているようだ。フィリピン経済の強さと注目銘柄について専門家に聞いた。


若年人口比率が高く、長期にわたって力強い成長を続けるフィリピン

フィリピン株の上昇が止まらない。代表的な株価インデックスのフィリピン総合指数は、月間ベースでリーマン・ショック後の2009年2月を起点に上昇し、4年間で約4倍に。5月初旬時点も過去最高値を更新し続けている。

「格付け会社フィッチ・レーティングスが3月27日、フィリピンの外貨建て国債格付けを『BBプラス』から投資適格級の『BBBマイナス』に引き上げましたが、これによってフィリピン株高がますます加速しそうです」と語るのは、新興国の株式情報を提供する亜州IRの又井郁生さん。

「欧米の機関投資家の多くは、株式については投資適格級の国のものだけを保有するルールを定めています。フィリピンが投資適格級に格上げされたことは、海外からより多くの資金が流入し、株価を押し上げる効果が期待できるわけです」(又井さん)



なぜ、フィリピン市場は好調なのか。又井さんは、経済の良好さに理由があるとみる。

「フィリピンは昨年、6・6%の経済成長率を達成しましたが、これはASEAN(東南アジア諸国連合)でトップクラスです。3月の上昇率は前年比3・2%とインフレも比較的落ち着いており、失業率も7%と途上国にしては低い。ASEAN諸国の中でも優等生の部類に入るといえるでしょう」(又井さん)

しかも、フィリピンは今後長期にわたって力強い成長を持続する可能性が高い。というのも、フィリピンは人口の約5割が21歳以下という若い国であり、他の新興国に比べて生産や消費の拡大が長く続くと見込まれるからだ。

「子供や高齢者などの?従属人口(年少者と高齢者)〞に対し、?生産年齢人口(15〜64歳)〞が何倍いるのかを示す?人口ボーナス指数〞があります。少子・高齢化が進む日本は1990年代に人口ボーナス指数がピークに達しており、中国やベトナムも2015年にはピークを打つと予想されていますが、若年人口比率が高いフィリピンは2045年まで人口ボーナス指数が伸びるとみられます」と又井さん。つまり、あと30年以上は力強い経済成長が続くと見込まれるのだ。



また、フィリピンのGDP(国内総生産)の約10%は海外出稼ぎ労働者からの送金で支えられており、こうした外貨の流入でフィリピンの対外債務は減少傾向にある。このように国家財政の健全化が進んでいることも、格付けの引き上げに結びついている。

かつては政治汚職や、イスラム系ゲリラ、共産系ゲリラの反乱などが繰り広げられ、政治リスクの高い国と見られていたフィリピンだが、アキノ現政権の誕生以来、清廉さと貧困撲滅への取り組みなどが国民に高く評価され、フィリピン政治は非常に安定している。これも外国からの資金流入が増えている理由だ。

又井さんがフィリピン株で特に注目しているのは、不動産関連や小売り、外食、食品などの消費関連銘柄だ。

「フィリピンのGDPの約7割は個人消費で支えられていますが、若年人口の多さを考えれば、今後ますます消費の規模が拡大することは間違いありません。経済成長とともに国民所得が伸びれば、住宅需要もどんどん高まるはずです」(又井さん)

具体的には不動産大手のアヤラ・ランド、外食チェーンのジョリビー・フード、総合食品メーカーのユニバーサル・ロビーナに注目しているという。



アヤラ・ランド(不動産)
フィリピン系財閥・アヤラの不動産部門。住宅、商業・オフィスビル、ホテル、レジャー施設など幅広い不動産物件を手がけており、ビジネス街やニュータウンなどの大規模開発に定評がある。首都マニラのビジネス街であるマカティ地区に多数のオフィスビルを所有。ショッピングセンターも数多く運営しており、個人消費の拡大は追い風だ。