号泣必至の恋アニメ『ハル』を脚本家・木皿泉さんが語る

 『すいか』、『野ブタをプロデュース。』『Q10』と、さりげないのに強い印象を残す、数々の名作ドラマを手がけてきた脚本家・木皿泉。

 初となるアニメ作品『ハル』は、恋人ハルを事故で失い引きこもり生活を送る女の子くるみと、彼女を助けるために派遣された、ハルそっくりのロボット・ロボハルが織り成す近未来ラブストーリーだ。

 さらに『ストロボ・エッジ』『アオハライド』で知られる人気少女マンガ家・咲坂伊緒がキャラクターデザインを、清川あさみがアートディレクションを務めるなど、木皿作品の中でも“女子度”の高いアニメとなった本作。木皿泉の“中の人”の片割れである、妻鹿年季子に話を訊いた(※インタビュー中では「木皿」と表記)。

◆『Q10』では無理だった表現もアニメだから可能になった

――近未来の京都が舞台でしたが、SFっぽい道具が出てくる反面、街並み自体はごちゃっとしていて、活き活きした京都弁が聞こえてきて、そのMIX具合が素敵でした。

木皿:京都は実生活でもよく遊びに行く街なんです。時間が止まっているというか、なんか変なところですよ。狭い街だから、電車とか関係なく学生さんが夜中でも飲んでたりして、時間の区切りがない感じ。観光客もいて、古いものもあって、あの独特さが好きですね。よそよそしいんだけど、外の人をも受け入れていて面白いんです。京都が舞台のSFをやろうと提案されたとき、最初は「えー、できるのかな」って思ったんですけど、途中からすごくいいな、と。変わらない街だから、違和感がないんです。ほかの都市だと、近未来だともっとサイバーな感じになるかもしれないけど、京都だったら、「まだこんな感じでしょ」ってなる。

⇒【画像】アニメ作品『ハル』より http://joshi-spa.jp/?attachment_id=15584

――木皿さんご自身もずっと関西にお住まいですが、関西を舞台にした作品は、実ははじめてとか。

木皿:はい、意外と関西弁のドラマは作ってないんですよね。ちなみに『すいか』は、一番最初に書いた企画書は、舞台は京都のゲストハウスという設定だったんです。でも難しいということで、三軒茶屋になったんですけど。

――クライマックスでは、鴨川を効果的に使われていましたね。

木皿:川がドーンとあって、山がある。それが京都らしいなって、使おうと思っていたんです。もともと川がすごく好きで、人生みたいな感じもあるし、いろんなところにつながっているし、別のところにも行けるし。川の持ってるメタファーみたいなのが好きなんです。水シーンのアイデアは、本当はドラマ『Q10』で、前田敦子演じるQ10にやらせたかったんだけど、無理ですと(笑)。でも、アニメならできるじゃんってことで。結果的には、アニメならではの表現ができたと思います。

――雨が降っているシーンも多くて、全体的にしっとりした雰囲気の世界観になっていたと思います。個人的には、くるみがロボハルの服にボタンを縫い付けて、糸を口で噛み切るシーンがエロいなと(笑)。

木皿:ボタンを縫う、と書いたけど、そこまで細かく指示したわけではないです(笑)。そこは監督の演出ですね。確か向田邦子のドラマに、同じようなシーンがあって。服を着たままボタンを縫う、というのがエロティックなのかもしれませんね。

◆女の子はしっかりしてるけど、男の子は繊細なんです

――「弱っている女の子を助けに来てくれるイケメン」であるロボハルは、一見少女マンガの王子様のように思えますが、実は彼にも秘密が隠されている。そのひねり具合というか構成の巧みさが、非常に木皿さんらしいと思いました。

木皿:昔は女の子を書きたかったんだけど、今は男の子のほうが揺れていて、書いていて面白いですね。女の子はほっといてもなんとか生きていくし、実際に役者さんでも女の子のほうがしっかりしてる。不思議ですよね。少し前から、男の子も化粧するようになりましたよね。あのとき、化粧という文化をいちから始めるなんて、これから大変だなと思ったんです。昔から「あんたたち男はゲタはかせてもらってるんだから、脱がされたら大変だよ」って思ってたけど、実際にそうなって。医学的にも、子どもの頃は男の子のほうが死にやすいらしいですしね。うちの旦那とか見てると、傷つきやすいし(笑)。荒波博士が「ハゲ」「ヤブ医者」って言われて本気で傷つくシーンがあるんですけど、肉体的にも精神的にも繊細なんですよ、男の子って。