証券、銀行、保険、住宅ローン、クレジットカードなど、様々な金融商品を手がけるSBIグループ。いずれもトップクラスの顧客満足度を誇るが、その根底にはSBIホールディングス代表取締役執行役員社長・北尾吉孝さんの高い理念がある。私たちは?お金?とどう向き合うべきか。

■お金の儲け方に近道はない

 私がビジネスマンに身につけてほしい要件は3つあります。

 まずは「人はいかに生きるべきか」という人間学。次に、社会生活を営むうえで不可欠な道徳的素養。そして最後に、お金や貨幣経済に関する知識です。

 ところが、今の日本の学校ではお金についての教育が全くなされていません。お金をどうつくるかという「稼ぎ方」も、稼いだお金の「使い方」のいずれも、学べる環境にはないのです。

 よく私は「北尾さん、どうしたらお金を儲けられますか?」と尋ねられます。そこに近道はありません。二宮尊徳は「積小為大」、「小を積んで大を為す」と言っていますが、コツコツと小を積まない人は決して大きな財をなすことができないのです。

 クレジットカードや電子マネー、ポイントに関する知識も、お金に関する小さな知識のひとつです。保険料やローンの金利、投資の手数料などもそう。今や誰もがインターネットなどで情報を集めて比較・検討することができます。

 自ら学んで賢くなればなるほど、得をしたり、節約したりすることができるようになるのです。まさに消費者主権、投資家主権の時代と言えます。

 皆さんのお金に関する知見を測るうえで、ひとつの質問をしてみたい。「もし今、1億円もらったとしたら、何に使いますか?」と。ある意味、難しい問題です。

■即答する人と慎重に答える人

 ある人は「親に半分あげて、残った半分のうちの半分は自己啓発に使って、残りは……」などと答えます。またある人は「マンションを買って旅行に行く」などと答えました。丸々、貯金するという人がいるかもしれません。

 人それぞれの考え方があっていいとは思いますが、私が見どころありと感じるのは「使い方は慎重に考えたい」と言う人。それほど、お金の使い方には熟慮が必要なのです。また、「やりたいことがあり、そのための準備を入念にしてきたので、いただいた1億円でその志に挑みたい」という人がいたなら、まさに目的を持って、積小為大を実行している。

 将来、より大きなお金が舞い込むことが期待できるのではないでしょうか。

Q&A

北尾吉孝

北尾吉孝

1951年兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、野村証券入社。78年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。現在、SBIホールディングス代表取締役執行役員社長。『先哲に学ぶ』『ビジネスに活かす「論語」』など著書多数。