ボーイング787が復活! 787に何が起こりどう変わったのか経緯を追って検証

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6月1日、ANAとJALはボーイング787型機(以下、787)を使った定期便の運航を再開。ANAは羽田発フランクフルト行きNH203便、JALは羽田発シンガポール行きJL035便がそれぞれ第1便となり、どちらも同日午前1時に羽田を飛び立った。ここで今までの787・これからの787を検証したい。

787はアメリカ連邦航空局(FAA)の運航停止命令により1月16日から運航停止となっていたが、4月26日にFAAが同命令を解除。翌日、エチオピア航空がアジスアベバ発ナイロビ行きの便で運航を再開した。なお、エチオピア航空は3大アライアンス(航空会社提携)のスターアライアンスに加盟する、グローバルスタンダードな航空会社である。また、翌5月15日にはインドのエアインディアが、同20日にはアメリカのユナイテッド航空が米国内便のヒューストン〜シカゴ便で運航を再開した。

日本の国土交通省も、FAAが運航停止命令を解除した日に787の運航再開を承認したが、日本の航空会社は他国に比べると慎重だった。運航停止になった時点で、787は世界8社に約50機が納入されていたが、そのうちの半数は日本の航空会社が保有していた。飛行機を遊ばせておけば資産の無駄になる。それでもすぐには飛ばさなかった理由は、パイロットの資格更新や手配などの物理的な問題もあったが、まだ早いとの考えからだろう。

787は実に34年ぶりとなる運航停止命令を受けた旅客機となったが、その直接の原因となったのが1月16日の起きた発煙トラブル。山口宇部空港から羽田に向かっていたANAの787(692便)の補助動力装置に使われているバッテリー(APU)から発煙し、高松空港に緊急着陸した。

その後、ボーイング社首脳は3月15日に来日して記者会見を行ったのだが、この日ボーイング社は「ひとつの根本的な原因を探すのではなく、広範囲の保全・保護策を講じた」と発表した。これを多くのメディアは「発煙の原因は不明のまま」とし、「それで安全性に問題はないのか」という論調で報じた。

対するボーイング社及び関係者は、80以上もの原因を想定し、それらに対応できる処置をとった。この中に今回の発煙トラブルの原因が含まれていないとは限らない。とすれば、原因は不明のままなのではなく特定できていないだけ、ということになる。

一部のブログなどでは技術論が書かれているが、いわゆる一般メディアの報道には「原因不明=危険」との論調が多く、具体論はほとんどなかった。そうした中で急いで運航を再開しても、消費者には不信感が少なからず残ったままであり、支持が得られないと航空会社は判断したのだろう。

ただ、今回ボーイング社がとった措置はこうした論争を超えた、いわば「力技」だった。問題のバッテリーは補助動力装置であり、飛行中は通常使われることがないため、新たに格納容器を造り電気室内の他の機器から独立させた。また、発煙の原因と疑われたバッテリー内のリチウムイオン電池を絶縁シートで覆ってショートを回避。加えて、電池の入ったセル内に酸素を入れず火災の発生を防止するなどし、万が一煙などが発生しても、格納容器から直接機外に放出され客室や他の電気室など機内に入ることはない。

さらに、4月28日に行った記者会見では、バッテリーの状態をコクピットで管理できる機能を追加したことを表明した。

787はこのバッテリー発煙以外にも、燃料漏れやエンジン部の亀裂など複数のトラブルが見つかっていたが、「それらもすべて運航停止期間中に改修した」(航空行関係者)。窓ガラスのひび割れなど、他の機材でも起きている不具合も一緒くたにされて報道され、いわゆるキャンペーンをはられた印象も受けるが、それらや新しい飛行機に付き物と言える初期不良なども、運航停止期間中に改善・改修しての再就航となる。

ANAでは6月1日深夜、羽田からフランクフルトに向けて出発する再就航初便の乗客に対して篠辺修社長が挨拶を行い、787のパイロットが手書きのメッセージ・シールを手渡しでプレゼントした。信頼回復の道はこれからだ。