TPPのメリットってどこにあるの?
株式市場がTPP参加表明を歓迎する一方で、農業界からは反対の声も上がっています。そもそもTPPには、どのような目的があるのでしょうか?また、本当に必要なのでしょうか?


TPP(環太平洋経済連携協定)とは、太平洋を取り巻く国々による経済的な連携協定を指します。

関税を撤廃し、自由貿易の活性化を促すことが主な目的です。ただ、安い農産物が大量輸入されることにより、日本の農業への打撃が心配されるなど、必ずしも自由貿易を歓迎しない声もあります。

では、自由貿易の活発化を推進するのはなぜか?

経済学者のデヴィッド・リカードは、「比較優位」という原理を見つけました。これは貿易を行なう両国にメリットが発生する原理を指します。

たとえば現在、A国とB国が、それぞれ労働者200人で農作物と鉄鋼をつくっていると過程します。

A国は、100人で農作物を1000個、残り100人で鉄鋼500個を生産します。一方のB国は100人で農作物を900個、残り100人で鉄鋼300個を生産します。合計で農作物は1900個、鉄鋼は800個生産されます。

こう見ると、B国はA国の生産量に対して農作物は9割、鉄鋼は6割しか生産できず、B国はA国との比較では生産力で劣勢と考えることができます。しかし、B国は農作物が得意です。B国の労働者200人を農作物に集中させれば1800個の生産が可能です。そして、A国は農作物に労働者を20人のみ投入し200個、残りの180人で鉄鋼900個を生産します。

結果、農作物は2000個、鉄鋼は900個と、相対的に優位な産業に集中することで生産量は増えるのです。

各国が国際分業に徹し、貿易を再分配したほうがお互いにメリットが大きいのです。これが、関税を撤廃し、国際貿易を加速させる理由です。

ただ、前述した通りTPPに反対する声もあり、経済学の理論通りに受け入れてもらうのは難しく、関税撤廃品の決定などを含め、TPP交渉参加表明は今年3月と、各国に比べ遅くなりました。

また、TPPにはもうひとつ大きな目的があります。各国と投資先国とのルール(ISDN条項)の整備です。

国内経常収支では、日本は投資立国へと変化していることがわかります。海外債券配当利益、海外生産拠点からの収益や配当で稼いでいるからです。少子高齢化により、さらに投資立国として加速する可能性もあり、今後は投資先国との法整備が必須の状況なのです。



崔 真淑(さい・ますみ)
Good News and Companies代表

神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。



この記事は「WEBネットマネー2013年6月号」に掲載されたものです。