晩秋よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開/[c]Rapsodie Production - Cite Films

写真拡大

2012年の第25回東京国際映画祭で、最高賞となるサクラグランプリと最優秀監督賞をダブル受賞した『もうひとりの息子』の日本公開が決まった。

【写真を見る】病院のミスで取り違えられた2人の青年。彼らはどんな人生を選択するのか?

イスラエルに住むフランス系ユダヤ人の女性は、愛する一人息子が他人の子供であることを知る。出生時、病院でパレスチナ人の赤ん坊と取り違えられていたのだった。事実を受け入れられない夫、そして両親の実子でないことに大きなショックを受ける息子。取り違えられた相手の家族にもその事実が伝えられ、2つの家族は自らのアイデンティティをめぐって苦悩する。

何年も愛情を注いで育て来た我が子が、もし、他人の子だったとしたら。本作のテーマとなっている“取り替え子”といえば、先日行われた第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した是枝裕和監督の『そして父になる』と同じだ。本作はそこに、絶えず緊張や衝突が続くイスラエルとパレスチナの民族問題を絡めた。世界がいまだ解決できない困難な問題を、家族という小さな単位の身近な問題として捉えており、いま世界に必要とされる希望を感じさせる感動作に仕上がっている。昨年の東京国際映画祭上映時は、審査員の評価のみならず観客からも広い支持を集めた。

監督のロレーヌ・レヴィはユダヤ系フランス人で、パリで舞台演出家として活躍、本作が4本目の監督作だ。グランプリ受賞時に「この賞をイスラエルとパレスチナの子供たちに捧げたい」と語っている。出演は、揺れながらも母の愛の強さを自然に溢れさせるイスラエル側の母親に、現在のフランスで最も尊敬を集める女優の一人であるエマニュエル・ドゥヴォス、その息子を『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』(03)の子役だったジュール・シトリュックが繊細に演じている。またパレスチナ側の息子を演じたベルギー出身の新進俳優マハディ・ダハビの知的な美しさも印象的だ。

2011年の第24回東京国際映画祭のグランプリを受賞した『最強のふたり』(11)が、日本でも記録的な大ヒットとなったことは記憶に新しい。2年連続でフランス映画のグランプリ受賞となった本作にも、ヒットの期待がかかる。公開は晩秋を予定している。【Movie Walker】