『バレット』のウォルター・ヒル監督を直撃!

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シルヴェスター・スタローン主演作『バレット』(6月1日公開)で、『デッドロック』(12)以来、10年ぶりにメガホンを取ったウォルター・ヒル監督が来日。ヒル監督は、『ストリート・ファイター』(75)で監督デビューして以来、『ザ・ドライバー』(78)、『ウォリアーズ』(79)、『48時間』(82)、『レッドブル』(88)、『ラストマン・スタンディング』(96)などで、骨太な男の美学を活写しつつ、プロデューサー、脚本家としても活躍してきたハリウッド映画界の猛者である。ヒル監督に、長年交流を持ってきたスタローンとの初タッグ作『バレット』について、気になる撮影秘話を聞いた。

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スタローンが演じるのは、海兵隊員から身を落とし、闇社会の殺し屋を生業としてきたジミー・ボノモ役。彼が、不本意ながらも若い刑事とタッグを組むことになる、という変化球のバディムービーだ。初めてスタローンと仕事をしたヒル監督は、「彼はとてもユーモアにあふれていたよ」と感想を述べた。

その内容について突っ込むと、「活字にできないことばかりなんだ」と苦笑いした。「彼は既知に富んだ人で、ゴシップというか、ショービズ界の話をするのが大好きでね。また、実はモノマネがすごく上手い。特にアル・パチーノとかデ・ニーロとかが最高だよ。気が乗ってくると、『ロッキー』とか『ランボー』とか、いわゆるスタローンっぽい自分の作品のパロディをしてくれるよ(笑)」。

え!?スタローンがモノマネ?セルフパロディもやるの?全く想像できない。でも、それは常に居心地の良い楽しい現場にしたいというヒル監督の計らいがあってこそだ。「映画を作るのってすごく大変なことだし、この業界もすごく厳しいし、プレッシャーも大きい。シリアスにならなきゃいけない瞬間はもちろんたくさんあるから、そこは集中するけど、それ以外の時間は、明るく楽しく過ごせるようにしたいといつも思っているよ。短期集中ってことが一番大切だね」。

また、ヒル監督は、大ベテランの域に達したふたりだからこそ、とても有意義な時間が過ごせたとも分析する。「お互いにすごく安心感があって、とても居心地良く仕事ができたよ。僕はスタローンが偉大なる映画スターとしてこれまで生き延びてきたことに感謝しているし、彼も僕が長年映画業界で頑張ってきていることをとても高く評価してくれている。僕たちは同じ時期にハリウッドに入り、キャリアの浮き沈みも経験しているし、共通の友人たちもたくさんいるからね」。

もちろん、監督として、スタローンに演技のリクエストはきっちりとする。「今回のジミー役は、ちょっと演技を抑え気味にしてほしいと言ったんだ。実際、そうしてくれて、とても良かった。でも、もしもふたりが若い時に仕事をしていたら、そんなことは聞き入れてもらえなかったかもしれないね。今はお互い、何十年もハリウッドの道のりを歩んできて、酸いも甘いも経験してきたから、信頼感があるんだ。今回、彼はジミーになりきり、アクションのみならず、演技の面でも一体化したキャラクターを演じてくれたよ」。

本作では、しびれる男気とダンディズム、リアルなアクションと、“ウォルター・ヒルイズム”にうならされる。映画への情熱は、71歳になっても衰えを知らないが、その秘訣はどういうものなのか?「自分は仕事をすることに対して、常にポジティブな気持ちを持っているよ。実は僕、少年の頃は喘息気味だったんだ。通常、年を取ると健康を害することが多いけど、僕の場合は大人になってからの方が健康だね。また、ショービズ界は嫌いだけど、映画作りがとにかく好きなんだ。脚本を書き、撮影し、編集するといった映画作りのプロセスが大好きさ」。

ウォルター・ヒルとシルヴェスター・スタローンという2大ビッグネームによるドリームタッグに心躍る『バレット』。映画のタイトルは、ジミーが飲み屋で固執するバーボンの名前から来ているが、本作もバーボンのように男臭くて味わい深い作品となった。【取材・文/山崎伸子】