株式会社熊平製作所

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理系のシゴトバ

株式会社熊平製作所

今回の訪問先 【熊平製作所 製品開発部 ゲートグループ】 
近年、大都市圏を中心にオフィスや店舗、アミューズメント施設、文化施設など、異なる機能を備えた複合ビルが増えています。そんなビルの場合、ビジネスパーソンはもちろん、店舗やアミューズメント施設、文化施設を利用しに来た一般の人たちなど、さまざまな人たちが利用することになります。このような複合ビルにおいては、不特定多数の人たちが利用するオープンエリアと、重要な情報や資産を抱えるセキュリティエリアをきっちり分けることが重要に。その役割を担うのが、セキュリティゲートです。そんな現在の複合ビルにおいて、必要不可欠なセキュリティゲートの開発・製造を行っているのが熊平製作所です。創業は1898年。当時は金庫の販売・修理業を営んでいましたが、1943年より本格的な金庫メーカーに転身。以降、金庫を中心にセキュリティ製品のノウハウを蓄積、99年からはトータルセキュリティシステムのメーカーとして事業を展開してきました。さまざまな製品を展開していく中で、注力してきた製品の一つが、セキュリティゲートです。今回はセキュリティゲートの開発を行っている製品開発部ゲートグループのシゴトバを訪れました。

 

■ 複合ビルに欠かせないセキュリティゲートの開発・設計

製品開発部ゲートグループのオフィスがあるのは、広島市南区にある本社ビルです。本社の開発フロアでは、セキュリティゲートのほか、金庫設備やその他同社が抱えるすべてのセキュリティ製品の開発が行われていました。本社敷地内には本社工場も併設されており、開発から製造までが一体となって、お客さまのニーズに即した製品作りが展開できるようになっています。
本社までは広島駅から車で約15分の距離。広島電鉄の宇品2丁目電停から約10分歩けば本社に着きます。またバス停からも近く、県立広島大学前バス停からは徒歩約5分の距離でした。
熊平製作所の社員数は約450人。その3分の1にあたる150人が開発部門に配属されており、製品の開発に携わっているそうです。

 

製品開発部ゲートグループのシゴトバを紹介してくれたのは、河口大悟さんと武田賢さん。河口さんはセキュリティゲートの機械系、武田さんは制御系の開発に携わっています。
「セキュリティゲートは機械系と制御系の開発メンバーのほか、製品デザインの担当者と打ち合わせをして、開発していきます」(河口さん)
写真は開発フロア。セキュリティゲートのほか、貸金庫、入退室管理システム、監視カメラシステムなどさまざまなセキュリティ製品の開発・設計がここで行われています。各開発者のデスクの間にはパーティションなどは一切ありません。メンバー間でのコミュニケーションがとりやすいよう、工夫されているオフィスです。

 

写真は2012年度グッドデザイン賞を受賞したセキュリティゲート「スターンゲート」です。グッドデザイン賞を受賞していることからもわかるとおり、来訪者に威圧感を与えない景観デザイン性に優れているところが最大の特長です。もちろん、飛び越えなどの不正通行が容易にできないようハイフラップを採用するなど、高いセキュリティ性能も確保しています。

 

開発の仕事には大きく分けて2つあります。新製品の開発と既存製品の改良・カスタマイズです。新製品は次のような流れで作られていきます。企画を立案し、承認されて開発が始まります。そして1次試作、2次試作を行い、販売を担当しているグループ会社との合同の委員会で試作品の評価をしてもらいます。それと並行して品質試験を実施。それらすべての評価や試験に合格して発売へと至ります。新製品が生まれるまでに半年から長いもので2年ほどかかるそう。
写真は3次元CADを使って、セキュリティゲートの機械設計をしているところです。
「セキュリティゲートの難しさは、セキュリティ性と安全性、操作性のバランスをいかにとるかです。これら3つの条件は相反するものだからです。例えばフラップのロックの力を強くするとこじ開けられることは減りますが、万一、人がぶつかった場合にけがをする可能性は高まります。また一般的にセキュリティ性を高めると操作性は損なわれていきます。いかに使いやすくセキュリティ性を高めていくか、これが私たちが解決していくべき永遠の課題なんです」(河口さん)

 

制御ソフトはC言語を使って開発されているそうです。
「制御ソフトウェア開発の難しさは、必要な機能を盛り込みながら、シンプルでわかりやすく、かつ拡張性の高いプログラムを組まなければならない点です。また、機器の細やかな動作を実現させるため、ソフトウェアの知識だけでなくハードに関する知識も求められます。課題を一つひとつクリアし、次期新製品にも利用できるソフトウェア開発を心がけています」(武田さん)

 

製品開発において、改良はつきものです。試作段階はもちろん、既存製品においても「ここをこういうふうに直した方がよりよくなるのではないか」と、改良の検討は欠かせません。
「機械系および制御系の担当者が一緒になって、改良点を検討します。より安全で操作性もよく、セキュリティ性の高いゲート開発をするためです」(河口さん)

 

モノづくりの最初から最後まで携われるのが熊平製作所の開発職。したがって併設されている製造の現場に開発者が足を運ぶことも珍しくありません。写真はセキュリティゲートの組み立て現場です。
「製造現場を訪れるのは試作段階が多いですね。工程ごとに図面どおりにうまくいっているか確認するためです」(河口さん)
「既存製品のソフトウェアをバージョンアップする際には、必ず製造現場に出向きます。現場のパソコンにバージョンアップされたソフトを入れて、実際に制御して不具合がないかチェックするんです」(武田さん)

 


■ ハタラクヒト 少数精鋭で企画からモノになるまで携われるのが面白い

引き続き河口さん(写真右)と武田さんに「熊平製作所 製品開発部ゲートグループ」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてお話をうかがいました。

 

河口さん、武田さんともに広島大学工学部出身。河口さんは機械系、武田さんは電気系の学科を卒業して熊平製作所に入社。熊平製作所を選んだ理由は「企業説明会がショールームで行われたのですが、そこで初めてセキュリティゲートを見たんです。自分もこんなものを作ってみたいと思いました。また熊平製作所では技術系の場合、まず製品開発部に配属されます。それも魅力に感じ、入社を決めました」と河口さん。一方の武田さんは「地元である広島で働きたいと思っていたところ、知り合いに熊平製作所で働いている人がいたんです。その人からいい会社だと聞き、迷わず就職しました」とのこと。

 

河口さんは2003年の入社以来、ずっとセキュリティゲートの開発に携わってきました。
「最初は細かい指示をされてから設計をしていましたが、どんどん任される範囲が増え、今では一から自分で考えるようになりました。何もないところから3次元CADで図面を描き、それが実際に工場内でモノとしてでき上がり、実際に目にすることができるんです。それがこの仕事の面白さですね」(河口さん)

 

入社4年目の武田さんは、「ゲートグループは少数精鋭で開発していることもあり、電気配線を設計し、試作して、実際に制御するというところまで、つまり最初から最後まで全体的に携われるところが面白いですね。しかも開発したものがオフィスビルや官庁などで実際に運用されているところを見るとうれしくなります」と語ります。

 

セキュリティ性、安全性、操作性という相反する条件のバランスをとることはもちろん、デザイン性も求められるのがセキュリティゲート。建築物の中で主張せずに、溶け込むことが求められます。
「一般的にセキュリティゲートのデザインは、私たち開発者とデザイナーが作りやすさやコストなどを考慮して話し合って決めるのですが、かつてビルの建築士の監修でデザインをしたものがありました。それは『ユニゲート』という製品なのですが、作りやすさを度外視したデザインで電気部品の入るスペースが非常に少なかったのです。その小さなスペースにいかに部品を納めるか、苦労しましたが、製品としてでき上がってきたときは、本当にうれしかったですね」(河口さん)

 

機械や電気の知識が欠かせないセキュリティゲートの開発では、河口さん、武田さんを含めほとんどが、機械系もしくは電気系の出身者だそうです。
「開発する上で機械や電気の知識も大事ですが、仕事を進める上でカギを握るのがコミュニケーション力です。製品の開発は製品開発部だけでできるわけではありません。購買や生産管理、試作、品質保証などのメンバーが集まり、3回以上のレビューを繰り返して、製品として世に出ていくことになるわけです。学生時代からいろいろな人と交流をして、コミュニケーションを取ることに慣れておくことをお勧めします」(河口さん)

 

シゴトバは「上司との距離も近く、話しやすい雰囲気。コミュニケーションはとりやすいです」と河口さん。武田さんも「縦にも横にもつながりが感じられる、本当に温かみのあるアットホームなシゴトバです」と、働き心地の良さを語ってくれました。

 

 

■  ビアパーティーや社員旅行での絆を深め、心身のリフレッシュも

毎年、夏に社員の日ごろの労をねぎらうため、会社全体でビアパーティーが開催されます。ビールジョッキ片手にテーブルを囲み、楽しいひと時を過ごしているそう。いつもは、あまり仕事で交流しない部署の人たちとも交流が図れるよい機会となっているようです。

 

製品開発部では社員同士の絆を深め、心身のリフレッシュを図ることを目的に、2年に一度、社員旅行を実施しています。宴会でのおいしい料理や趣向を凝らした楽しい催しで、毎回大いに盛り上がっているそうです。

 


熊平製作所にまつわる3つの数字

金庫のメーカーとして国内市場をけん引し、現在ではセキュリティゲートや入退室管理システムなどトータルセキュリティ企業として発展し続けている熊平製作所。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

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前回(Vol.82 IMV株式会社)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美 撮影/滑 恵介