まあ、大自然の中なので、ちょっと土が盛り上がったところで用を足していたら、向こうからすごい勢いでワニが走ってきて! 明らかにこっちを狙っているんです。もう慌てて走って、フェンスを高跳びのベリーロールのようにして飛び越えて、命からがら逃げました。ワニって少しの高さのフェンスでも乗り越えられないんですよ。

ちなみに後からわかったのですが、そのフェンスの中はワニの棲み家で、私が用を足してしまったところは、どうも産卵所だったようで……。そりゃワニも怒りますよね。このときの教訓としては、海外に行ってフェンスを見たら、何かしら意味があると思うべし、ということでしょうか」

――それはすごい体験でしたね。では、うっかり散歩中にライオンに会ったらどうしましょう?

「私、アフリカでライオンのすぐそばを通ったことがあるんですけど、猫のおしっこのような臭いがしました。日ごろから猫のおしっこのような臭いを感じたら注意してください。

そしてライオンでもトラでもチーターでも、猛獣類に出会ったら目線を外しちゃダメです。その途端に襲ってきます。目線を外さないと襲いづらいもんなんです。目線を外さずにゆっくりと後ずさりするのがコツです。

チーターなんて簡単で、後ろに回り込んで股間に足をいれて動きを封じて、ヘッドロックすればOKです」

――目線を外さずに……ですね。自信ないですけど、がんばってみます。最後に総合的にもうひとつためになるお話をお願いします。

「これは私の体験談からなのですが、私はあるときアフリカで、とある沼につかって歩いていたことがありました。岸を見たら原住民が手を振っているので、こっちもニコニコしながら”お〜い”みたいにフレンドリーな感じで手を振り返したんですね。

ところが後から聞いたら、その沼はどう猛なワニが住む沼。原住民はそれを知っていて”引き返せ!”って手を振っていたのです。野生動物のいるような場所に旅行した際には、とにかく地元の人の注意を事前によく聞くこと。何より情報収集が大切です」

人生いつ、どこで危険が待っているかわからない。今日からしっかり、動物の習性を調べて安全に逃げる方法を確認してみたいところ。そしてその習性を知ることで、動物の王国を汚さず、共存することもしっかりと考えたいですね。

パンク町田

1968年中野区生まれ。史上最強のアニマリスト。昆虫から鳥類、爬虫類、猛獣まで扱うことができる。鷹狩にも造詣が深く鷹道考究会理事、日本流鷹匠術鷹匠頭、日本鷹匠協会鷹匠、日本鷹狩協会鷹師を兼任。犬の訓練士でもある。日本使役犬協会主催、Japanese bandog club主催。また千葉県旭市に動物研究施設「アルティメット・アニマル・シティー」を開設している。著書は『買ってはいけない○禁ペット』(どうぶつ出版)、『猛禽類の医・食・住』(ジュリアン)など。月刊「ペットショップライフ」にて「パンク町田の生体のことならオレに聞け!」などを連載中。

アルティメット・アニマル・シティー

(OFFICE-SANGA 平野智美)