アベノミクス効果による景気回復を実感できない人もいれば、実際に恩恵を受けている人もいる。都内の天然皮革の輸入業者は「突然忙しくなった」と白い歯を見せた。

「ウチは国産の高級財布ブランドに牛革を卸しているんですが、最近、注文が殺到しています。聞くところによると、お札がたくさん入る長財布に買い替える人が増えたそうで。これもアベノミクスの効果だろうって社員は喜んでます」

 この5月、日経平均株価は5年ぶりに1万5000円を突破。東証1部の上場株時価総額は昨年10月の257兆円から、今年4月には405兆円になり、約150兆円もの値上がりを見せた。

 トレーダーをはじめとした投資関係者は株高の恩恵を享受しているのは当然のこと。ただし、バブルは彼らだけのものではない。「カネは経済の血液」といわれる。本誌がその血液の流れを徹底的に追っていくと、冒頭の皮革業者のように意外なところにも行き着いていることがわかった。

 都内のある小規模運送会社も「休みがない」と嬉しい悲鳴を上げる。この業者は引っ越しなどを請け負う他に、美術品などの輸送も手がけている。

「絵画や浮世絵、高価な壺などの骨董品を買う人が増えて、美術品運送を頼まれることが多くなりました。専門のスタッフが細心の注意を払って運ぶので手間がかかりますが、通常の荷物運送の15倍程度の料金なので利益率がすこぶるいい。

 ウチのお得意様の美術商にいわせると、『国内の美術品の価値はまだまだ株高ほど上がっていない。バブル期の10分の1程度の値で買える今こそ、仕込みのチャンス』らしいです。高級マンションの自宅に運ぶケースも多いので、株で儲けたセレブも増えている実感があります。皆さん、いいお客さんですよ」

※週刊ポスト2013年6月7日号