「そして父になる」で審査員賞を受賞した是枝裕和監督

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第66回カンヌ映画祭が、現地時間の5月26日の授賞式をもって閉幕した。下馬評の高かったアブデラティフ・クシシュ監督のフランス映画「Blue Is The Warmest Colour」がパルムドールに輝いた。

スティーブン・スピルバーグ審査委員長の特別な配慮により、ケシシュ監督とともに、主演のレア・セドゥーとアデル・エグザルショプロの3人がそろってパルムドールを受賞する形となった。俳優がパルムドールを授与されるのは、カンヌ史上初めて。思春期の少女がレズビアンの女性と出会って恋に落ちる様子を、ハードなベッドシーンも交えて描いた物語で、ふたりの熱演なくしては映画が成り立たなかったという理由から、スピルバーグ審査委員長が「3人のアーティストへ捧げる」と授賞を発表した。

グランプリを受賞したのは、同じく評価の高かったコーエン兄弟の「Inside Llewin Davis」。すでにアメリカに戻ってしまったコーエン兄弟に代わり、主演のオスカー・アイザックが壇上に上がった。

期待の日本勢は、是枝裕和の「そして父になる」が審査員賞を受賞した。是枝監督は「クロージングセレモニーに参加できて、映画作りに協力してくれたスタッフやキャストの方たちに(舞台上で)感謝の言葉を述べることができて本当に良かった。とてもいい賞だと思う一方で、まだまだ上があるなという気持ちで、また作品を持ってくることができればと思います」と心境を語った。同賞を日本人が受賞するのは、1987年の故三國連太郎さんが監督を務めた「親鸞 白い道」以来26年ぶりとなる。

オフィス北野が製作に参加しているジャ・ジャンクーの「A Touch Of Sin」は、中国の格差社会を背景に4つの事件を扱った構築力が評価され、脚本賞に輝いた。審査員メンバーのひとりである河瀬直美は本作について、「4つのエピソードがともに実在の事件に基づいていることが重要。現実にはこれらの事件の犯人は犯罪者として報道されているが、映画では反対に、彼らに共感できるように描かれている。そこに監督の勇気を感じるとともに、映画が観客それぞれに考えさせることにもなっている」と評価した。

男優賞にはアレクサンダー・ペインの「Nebraska」に主演した名優ブルース・ダーン、女優賞にはアスガー・ファルハディの「The Past」に主演したベレニス・ベジョーが輝いた。また監督賞は、ペインやファルハディ、ソダーバーグらベテラン勢を尻目に、メキシコの若手アマト・エスカランテが、「Heli」における鋭利な演出力を買われて受賞した。スピルバーグ審査委員長は今年のコンペ作品を振り返り、「とても素晴らしいセレクションだった」と締めくくった。(佐藤久理子)

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