コーエン兄弟「Inside Llewyn Davis」キャスト陣写真:ロイター/アフロ

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終盤を迎えた第66回カンヌ映画祭が、ホットなゲイ映画ネタで盛り上がっている。コンペティションに出品されたスティーブン・ソダーバーグの「Behind the Candelabra」とアブデラティフ・ケシシュの「Blue is the Warmest Colour」、ある視点部門の「Stranger by the Lake」がその話題作だ。

ソダーバーグの作品は、実在の天才ピアニストにして奔放な同性愛者として知られたリベラーチェの半生を、きらびやかに描く。リベラーチェに扮したマイケル・ダグラスと年下の恋人役のマット・デイモンのなりきりぶりが見事なほどにハマり印象的だ。特にダグラスは、本作のオファーを数年前に受けていながら、喉頭がんを克服するために撮影を遅らせざるを得なかったという状況があり、会見でも思わず言葉を詰まらせるなど、その思い入れの強さをうかがわせた。

ケシシュの作品はコミックが原作で、10代の少女が年上のレズビアンに誘われ、同性愛に目覚める過程を描いたストーリー。全体的にリアルで瑞々しい感覚の演出だけに、ヒロインふたり(レア・セイドゥと新人アデル・エグザルショプロ)の長く赤裸々なベッドシーンは、いささかトゥーマッチな印象を受ける。アラン・ギロディによる「Stranger by the Lake」は、真夏の湖で出会いを求める男たちの姿を悪夢的なシュールさを交えながら描き、異才ぶりを放った。

現時点でのコンペの星取り評を見ると、高得点なのはコーエン兄弟(「Inside Llewyn Davis」)、ジャ・ジャンクー(「A Touch od Sin」)、アスガー・ファルハディ(「The Past」)。気になる日本映画については、是枝裕和の「そして父になる」が、家族というユニーバーサルなテーマを丁寧な演出で見せたことで評価が高い。特に父と子のエモーショナルな関係は、スティーブン・スピルバーグ審査委員長の好みに合うのではないかとささやかれている。

一方、三池崇史の「藁の楯 わらのたて」は、アクションスリラーというエンタメ系ジャンルが逆に足かせとなったのか、星取りの評価はいまひとつ。映画祭のジェネラル・ディレクター、ティエリー・フレモーは本作のことを「ハワード・ホークス的な偉大な映画」と紹介しているが、フランスの日刊紙リベラシオン紙には辛口の批評が載った。

コンペはこの後、ロマン・ポランスキー、ジェームズ・グレイ、ジム・ジャームッシュらの上映が控えている。(佐藤久理子)

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