先般、中国女子バレーボールチーム(ナショナルチーム)の監督人事が決まり、多くのバレーボールファンはホッとしている。「女子バレーボール精神」という表現があったように、多くのファンはその戦績によって励まされてきた。

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 先般、中国女子バレーボールチーム(ナショナルチーム)の監督人事が決まり、多くのバレーボールファンはホッとしている。「女子バレーボール精神」という表現があったように、多くのファンはその戦績によって励まされてきた。

 ところが、かつては五連覇に輝いたこのチームも、ベテラン選手の引退などで下り坂となっていた。それに監督人事もなかなか決まらず、ファンたちはイライラしていた。スポーツ界のOBの中には外国人監督を招請してはと言う人もいた。それも選択肢の一つと言えなくはないが、これだけ輝かしい戦績のあるチームはやはり自国人の監督に任せたいというのがファンたちの心情である。

 このところ、他国のチームも強化トレーニングで力をつけてきており、中国チームにとっては栄光に再度輝くことはなまやさしいことではない。

 新中国建国以後二代目の女子チーム監督李安格さんは、中国女子チームは、テクニック、戦術面で革新しなければ生き残れなくなると語っているし、また、郎平さんの監督就任によって新しい可能性が切り開かれることになろう、ともみている。

 郎平さんは五連覇の時代を経験しており、また、アメリカチームなど外国チームの監督を務めたこともあるので、中国バレーボール界でも国際的視野の持ち主と見られている。そして、外国チームに銀メダルを取らせた経験もあり、ファンたちは大きな期待を寄せている。

 郎平さんはテレビのスポーツ番組での対談で、「永遠にトップを保ちつづけられるチームはないと言えるが、このポストに就いたからにはたえずチームを進歩させていきたい」と語っている。

 女子バレーボール種目は、アメリカやヨーロッパ、ラテンアメリカなどの強豪がひしめいている。中国スポーツ界は総力を挙げて優秀な新人を育て、たえずナショナルチームを強化していく必要があろう。中国が北京オリンピックで金メダル総数1位、ロンドンオリンピックで2位となったのは喜ばしいことだが、それは他国に追われるようになったことをも意味する。世界のスポーツ界でいつまでも上位にあるのはなまやさしいことではない。

 中国国民の期待に背かぬよう、スポーツ界の人たちが、スポーツの世界における中国の夢(チャイナ・ドリーム)を現実のものにするため奮闘努力することをファンの一人として願っている。(執筆者:林国本・元駐日特派員 編集担当:水野陽子)