[其ノ二 FX 投資戦略編]米ドル/円の買い 日銀緩和はまだまだ続く。5月の調整は買い!
黒田新日銀総裁は?ありとあらゆる緩和〞を発表したが、2%のインフレ目標への道のりは長い!


金融緩和を意地で継続する日銀。5月のレパトリに注目

米ドル/円は、日銀新体制下での量的・質的緩和を受けて上昇が再開しました。

4月にかけて、市場予想を下回る米国の経済指標が散見され始め、米ドル/円と連動性の高い米長期債利回りが低下したにもかかわらず円が売られており、トレンドの強さが示されています。こうした状況では、米国経済が失速しない限り、米経済指標の多少の下ブレを受けた米ドルの下落は、米ドルを安く買える押し目買いの好機となります。

黒田新総裁は就任後最初の金融政策決定会合で、目先考えられる金融緩和手段をすべて出してしまったことから、今後市場にサプライズを与えるのは難しいとの見方が広がっているのも事実です。

ただ、過去30年間で、インフレ率が大きく上昇したのはリーマン・ショック前の世界的な好況時を除いてなく、かつ金融政策の効果は通常1年以上たたないと顕現化しないにもかかわらず、黒田新総裁は今後2年でインフレ率2%を実現すると述べ、岩田新副総裁は未達成の場合の辞任の可能性に言及しています。

こうした中で日銀は、毎四半期の政府への経過報告義務をこなしていくため、少なくとも行動でやる気をみせ続ける必要があり、新たな手法を含めて追加緩和を連続的に行なっていくはずです。

また、今後数年にわたり「インフレ」がテーマとしてくすぶり続けるでしょう。一般物価の上昇は一番後ですが、すでに起こっている円安と株高、不動産価格の上昇が続き、将来的に一般物価の上昇にも波及する兆しが見えてくると、これまで日本のインフレに半信半疑だった内外投資家も本格的に円売りに向かいます。

重要なのは、100円を超える円安が進んでも、インフレを伴う場合には、インフレ分を差し引いた実質相場では円安化しないこと。そうなると海外からの批判は必ずしも高まらず、日本の当局も円安を容認できるでしょう。

5月は例年、日本の機関投資家が保有する米国債に対する利払いを円に替える、リパトリエーションの思惑から円高になりやすい時期で、ドル買い・円売りの好機となります。



【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
バークレイズ銀行チーフ FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループなどを経て、現職。特に欧州経済に詳しい。



この記事は「WEBネットマネー2013年6月号」に掲載されたものです。