三木聡監督と、彼がモデルとなった俺X俺/[c]2012 J Storm Inc.

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第5回大江健三郎賞を受賞した星野智幸の不条理小説を映画化した“日常逸脱系”サスペンス『俺俺』が5月25日(土)から公開される。成り行きでオレオレ詐欺をしてしまった男が、同じ顔をしたたくさんの“俺”と出会うという奇想天外なストーリーで、1人で33役の“俺”を、アイドル、俳優、キャスターと様々な顔を持つ亀梨和也が演じている。“周りがみんな自分だったら楽なのに”と誰もが一度は感じたことのある現代、荒唐無稽な設定ながらもリアルな共感を呼ぶ異色作だ。

【写真を見る】ウサギのゴンザブロウ。同じなのは名前だけではなかった!

本作で監督を務めたのが三木聡。1980年代から「タモリ倶楽部」、「ダウンタウンのごっつええ感じ」、「トリビアの泉」などのTV番組に放送作家として関わり、監督になってからは、TVドラマ「時効警察」(06)、「熱海の捜査官」(10)、映画『イン・ザ・プール』(05)、『転々』(07)、『インスタント沼』(09)などを手掛けてきた。三木作品といえば、会話や風景の端々に様々な小ネタやギャグを入れ込まれているのが定番。当然本作でもそれらは健在だ。

例えば、亀梨が演じた33の俺の中にいる「俺X俺」のモデルは三木監督。髪はモジャモジャで監督愛用の帽子をかぶっている。実はこのキャラクターは撮影現場で生まれたオリジナルだ。

また、『インスタント沼』でヒロインのハナメ(演じたのは麻生久美子)が実家で飼っていた黒いウサギの“ゴンザブロウ”が本作でもペットとして登場する。これまでの三木作品でも、『転々』に「時効警察」の婦人警官・三日月しずか(これも演じたのは麻生久美子)が登場するといったクロスオーバーが存在していた。だが今度はウサギ…。これは『俺俺』と『インスタント沼』両方に参加していたスタッフが『インスタント沼』撮影後にゴンザブロウを引き取り飼い続けていたことから実現したのだとか。一足先に本作を鑑賞した麻生久美子は「新たな三木ワールドに少し嫉妬しながら観ていた私に気付く。ゴンザブロー!!!!」とコメントを寄せている。

更に、増殖した“俺”の1人で冷静沈着なサラリーマン・大樹の母親役の高橋惠子が、欽ちゃんの懐かしギャグ「バンザ〜イ、ナシよ」のパロディーを演じる場面もある。そうした世代を問わない脱力ギャグは、まさに三木作品の真骨頂だ。

こうしたトリビアは、『俺俺』公式サイトの作品情報ページで数回に分けて更新される予定。本作は小ネタを全てフォローしなくても十分楽しめるが、公開前に確認して楽しむもよし、公開後のお楽しみに見るもよし。噛めば噛むほど味が出るスルメのような『俺俺』ワールドをじっくり探求してみたい。【Movie Walker】