映画などで「全米が泣いた!」といったうたい文句にあるように、感動したり、心を動かされたりする映画や本は、常に注目を集めます。人によって感動の「ツボ」は様々で、それゆえに多くの人の心を動かした作品は称賛されます。しかし、その感動に法則があるとしたら?

 その法則について説いたのが、大手広告会社・電通でコマーシャル制作をしていた高崎卓馬さんの著書『表現の技術―グッとくる映像にはルールがある』です。

 高崎さんによると、笑うにしても泣くにしても、「感情を動かすために絶対必要な要素は『オドロキ』」なのだそう。書籍の中ではまずは笑いを例に出して、次のように説明しています。

「すべての人は笑う直前に必ず驚いているのです。たとえば、『ガキの使いやあらへんで』というテレビ番組の七変化という企画を思い出してください。あるタレントが変装して会議室に現れる、そして部屋にいる人間はそれを見て笑うのをこらえるというシンプルなルールの企画です。見ていると、彼らは笑う前に必ず一度、その変化に対して驚いていることに気がつきます。いきなりゼロから笑う人はいないのです」

 さらにこの法則、泣く場合にも同じことが言えるのだとか。

「人が泣く場合も、ほぼ同じことが言えます。登場人物が助かったと思ったら、助からなかった(あるいはそう思ったら助かった)。というようなあるオドロキ、心の起伏のようなものがあって人は涙腺を決壊させます」

 例外的に人の死や別れなど人類共通の「共感」によって成立することもあるそうですが、やはり大きな感情の揺れをつくるには、この「オドロキ」が大事だといいます。

 また、面白いものの法則としては「ズレ」も重要なのだとか。高崎さんは「面白いものは、ほぼ間違いなく『ズレ』をもっています。なにかをズラすとそこに面白さが発生する」とも説明しています。
 
 たとえば、上司が命令し、部下が従うという風景は普通ですが、これが逆になると「ズレ」が生まれて、それが「面白さの起点」になるのだそう。そういわれてみると、面白いCMなどには、シチュエーションや展開に思わぬ「ズレ」や「オドロキ」があることが多いような気がします。

 例えば、今、Twitterなどで話題になっている三幸製菓のせんべい「ぱりんこ」のCMにも、そんな「ズレ」が潜んでいます。CMでは、マツケンこと松平健さんが「ぱり、ぱり、ぱりんこ ぱーん!」という掛け声とともにステップを披露、さらに「ぱーん!」の時には目を見開き、大口を開けるという渾身のキメ顔と、キレのある動きに思わず見入ってしまいます。

 そして、松平さんの「ズレ」をより感じられるのは、このぱりんこのウェブ限定ムービー。実はこの中で松平さんがショートコント風の作品にチャレンジしているのです。

 「笑いの法則」がどのように実現されているのかは実際に見てもらうとして、やはり心を動かすキーワードは「ズレ」と「オドロキ」なのかもしれないと思いながらCMやお笑い番組を見てみると、普段と違った発見ができるかもしれませんね。

【関連リンク】
ぱりんこステップ編
http://www.sanko-seika.co.jp/docs/cm/cm_2.html



『表現の技術―グッとくる映像にはルールがある』
 著者:高崎 卓馬
 出版社:電通
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