齊藤正明氏&常見陽平氏に聞くビジネスサバイバル術 (5) 会社員から独立して成功するには?

写真拡大

インターネット環境が整ったこともあり、独立して起業する人が増えているそうです。自分の好きなスタイルで働くことができるメリットはありますが、業績が収入に直結するなど、不安なこともたくさんあります。

起業するにはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。独立して個人でビジネスを展開している、齊藤正明氏と常見陽平氏にうかがいました。

――お二人が独立しようと思ったきっかけを教えてください。

齊藤氏「人材ビジネス業界に転職したかったのですが、どこも雇ってくれなかったんですよ(笑)。技術職からの転職は難しくて……。『マグロ船に乗って目覚めたんです』といっても理解してもらえません(笑)。それで仕方なく、自分でやるしかなかったんですよね」

常見氏「社長インタビューではかっこいい話が出てきますけど、そんな理由はうそですよね(笑)。ぼくの場合は、会社員時代に物書きとしてデビューしていましたし、自分を指名してくださる仕事もあったことがきっかけ。いまは大学院に通っていて、フリーなら仕事と両立できるので理想的な働き方が実現できました。

起業するにはスキルが必要だといわれますが、それよりも顧客がいることが大事で、相手に対して価値があればOK。できるならば、もしものときに備えて1〜2年分の貯えかスポンサーがいるといいですね」

齊藤氏「ぼくは3年で貯金がなくなりました。お客さんがいないのに独立したので、典型的なマズイ例(笑)。でも、マグロ船のネタを見つけたことが転機になりました」

常見氏「齊藤さんのように、自分のできること、得意なことを知ることも重要ですし、エリアを限定して商売をはじめるのも価値があると思います」

――独立してから、会社員時代との大きな違いはどんな点にありますか?

常見氏「自由と責任につきますね。広報担当をしていたときには、発言にも慎重になりましたが、いまでは自分の責任において自由に発言できます。しかし、来年の年収が保証されないという面ももちろんあり、『稼ぐ』という意味を考えさせられます」

齊藤氏「ぼくの場合、今日やろうと思ったことが今日できるということが大きな違いですね。会社では小さな変更でも稟議が必要で時間がかかりますが、独立するとその手間は省けます。

また、自分のアイデアが当たったかどうかもすぐにフィードバックされるのもおもしろいですね。組織にいるとわからないこともありますから」

――起業するために必要なことはありますか?

齊藤氏「ヤフオクなどを利用して、お金の流れをシミュレーションすると、商売の感覚がつかめるのではないでしょうか。ニーズを把握して出品したり、評価からお客さまに喜んでいただけたりすることはもちろん、請求書や入金の管理も勉強できます。

ぼくは何も準備せず会社を辞めてしまったので、こういったシミュレーションをやっておけばよかったと思います。会社員の場合、一部署しか経験できず、全体がわからないことも多いですからね」

常見氏「起業家ほどインターンシップが大事。会社員時代に起業家とは何かを垣間見る機会を設けたり、いろんなものから刺激を受けたりする期間が必要ですよね。

ぼくの周りには起業した人が多かったし、独立した先輩のお手伝いをしていたこともあって、フリーランスとして成功している人の背中を見ることができました。これはとてもラッキーだと思います。

とはいえ、自分にあったロールモデルになる人はいません。自分の目指すジャンルだけでなく、いろんな分野の人から学んで吸収したほうがいいでしょう」

齊藤氏「もし副業が可能ならば、最初は赤字でもいいからとにかくやってみること。ぼくは最初、お客さんにお金を払って話を聞いてもらいました。次に得た報酬はサバ缶などの現物支給(笑)」

常見氏「助走期間は必要ですね。会社を使って冒険するのはおすすめ。会社の名刺があれば、いろんな人に会える可能性がありますし、新規事業を立ち上げることは勉強にもなります」

――起業家として成功した人に共通することはありますか?

齊藤氏「『隙間』を狙うことでしょうか。また、一般的にやっていることでも見方が新しいものはおすすめです。ぼくのいる研修業界は、すでに取り組んでいる企業が多く、入り込むのは難しいんですよ。でも、ぼくのようなマグロ船式のやり方というのは、だれもやっていないし、やろうと思う会社も少ない。そこがよかったのだと思います。

ぼくの売り上げは会社の規模としては小さなものですが、個人であれば問題ありません。これを成功と言っていいのかわかりませんが、なんとかやっていけますよ」

常見氏「ぼくは中成功でもいいと思います。また、社長本などに書かれた人の成功体験は疑ったほうがいい。本当に儲かっている人は本を書きません。なぜなら国税の査察が入るから(笑)」

齊藤氏「このような本を読むときは、すべてを真に受けるのではなく、一歩引いてみてほしいですね。主役は本ではなく、人なのですから」