カロリー計算の罠。ダイエットと人間心理の深い関係

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「カロリーゼロ」や「カロリーオフ」の文字が至る所で見られる現代。カロリーを抑えたいがために化学物質だらけの人工甘味料を使ったりサプリを飲んでみたりと、「美と健康」の優先順位を勘違いしている人も多く、バランスが崩れているようにも思えてくる。しかし、やっぱり好きな食べ物はやめられない……。そこで人はカロリー計算をしだすのである。

Health Behavior Newsの調べによると、アメリカでは週に1人当たり4.1回外食をしていることになる。ダイエットをしている人たちは「家で作った方がダイエットのためにも良い」と知っていながらもレストランで外食をし、メニューに載っているカロリーを一生懸命計算するのである。

カロリー表示ばかりを見ていると「ダイエットに大切なもの」を見過ごしてしまい、気休めで満足してしまうのだと専門家は言う。

「こっちのお菓子は100キロカロリー低いから」と言って人工甘味料の多いお菓子を選ぶのは健康によくないだけではなく、食べる事に対しての意識が病的になってくるそうだ。

「カロリー数値がなんであろうが、結局は食べてしまう場合が多く、その場合の数字は自己嫌悪に陥らせてしまう」のが理由だ。カロリー数値の中身である栄養価には目もくれずに、数字のみを執拗に計算することは危険だ。

また、人間の脳は脂肪分や糖分の多い食べ物を体内に入れると依存性のある物質を分泌するらしい。そして私たちの周りには炭水化物や糖分たっぷりの魅惑スイーツが数多く存在する。それに加えて、長年続けてきた食生活を変えるのはとても難しい。

そこで私たちの人間心理が働き、食生活をあまり変えずにダイエットをした気になる「気休めカロリー計算」に走ることになるのである。

摂食障害の患者を30年間診てきたダイアン・バース医師によると、患者の多くがカロリー数値を執拗に気にしてしまう事から心のバランスを崩し始めたのだという。

「カロリー表示は自己嫌悪に陥るだけでなく、今日は50キロカロリー減らせた、という満足感が脳に伝わり、カロリー計算に依存してしまうことになる」とバース医師は言う。

結局のところ、カロリー数値は健康に関して言うとあまり意味のない数字なのだそうだ。

「健康的な食生活=カロリーを気にする」という間違った方程式を変えない限り、難しい問題なのかもしれない。


参考:Calorie Counts on Menus ? Good or Bad Psychology?
http://www.psychologytoday.com/blog/the-couch/201305/calorie-counts-menus-good-or-bad-psychology