【傑作ゲーム探訪】メタルマックス2

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今回ご紹介するのは1993年のスーパーファミコンソフト『メタルマックス2』。

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その名の通り『メタルマックス』の続篇です。物語の舞台は、「伝説の大破壊」と呼ばれる災害によって荒廃した世界(テレビ『未来少年コナン』『北斗の拳』みたいな感じ)であり、そこではグラップラーという悪の組織が人間狩りを行っていました。主人公はみなしごであり、幼少の頃から自分を育ててくれた女性・マリアと2人で暮らしていましたが、マリアはグラップラーに立ち向かい、殺されてしまいます。かくして主人公は、マリアの仇を討つべく、打倒グラップラーの旅に出るのであった……。

旅に出た主人公は、行く先々で2つのものと出会います。

1つは、当然ながらグラップラーの面々とその施設です。グラップラーは、幾多の人々を監禁し、強制労働させ、そして人体実験を繰り返していました。しかし、グラップラーの研究所で人体実験に従事する科学者は、罪悪感を感じていませんでした。書籍『別冊宝島 僕たちの好きなTVゲーム 熱中RPG編』は、「嬉々としたその様子」は、「まるでお気に入りの玩具で遊ぶ子供のよう」だと指摘しています。グラップラーが人間狩りをする理由は、人体実験をするためだと判明しましたが、なぜ人体実験をするのかについては、最後の最後に明らかになります。

主人公が出会うもう1つのものは、ブラド・コングロマリットという会社の遺物です。或る土地では同社が建設した発電所があり、また別の土地では同社の業績を伝える博物館が廃墟となっていました。博物館の展示物と案内によれば、同社はとにかく色々な分野の商品を製造していました。軍事兵器を製造する一方で、医療機器をも製造していたのです。

旅を続ける主人公は、何者かの邸宅に辿り着きます。そこは、ブラド・コングロマリットの社長の自宅でした。主人公は、そこにいた人から以下の話を聞きます(ゲーム中の台詞はひらがなばかりですが、ここでは漢字に置き換えました)。
「ブラド・コングロマリットの社長は有名な科学者・バイアス・ブラド。環境汚染を科学で解決するという触れ込みで政治家としても成功した。」
「ブラドは自分の会社を投げ打ってまで環境汚染に取り組もうとしていた。風力発電所や湖水浄化プラントを次々と建設した。ブラドは英雄的な政治家として人々の尊敬を集めていた。だがブラドは治る見込みのない病気に冒された。」
「病魔に冒され死を逃れられないと悟った時ブラドは変わった。全ての事業を放り出して自分の研究室に閉じ篭もってしまった。そんな折、伝説の大破壊が起こった。ブラドがその後どうなったかは誰も知らない。」
ブラドは本作のストーリーに於いて、どういう意味を持っているのでしょう。こう何度も何度も出てくるのですから、何らかの重要な役割を担っている筈ですが、それが判明するのは最後の最後になってからです。

さて、冒険を続けた主人公は、遂にグラップラーの本拠地に辿り着きます。そこの名前は、バイアス・シティ。バイアスとはどこかで聞いたことのある名前だと思えば、よく考えてみるとバイアスとはブラド・コングロマリットの社長の名前ではありませんか。これは一体どういうことなのでしょうか。グラップラーの本拠地の最深部まで進んだ主人公は、バイアス・ブラドと出会います。バイアス・ブラドこそが、グラップラーの首領だったのです。しかし、ブラドは人間ではなく、コンピューターでした。

真相は遂に明らかになりました。自らの死によって事業続行が不可能となることを恐れたブラドは、不死になるための研究を始めました。その研究を進めるための組織がグラップラーであり、グラップラーは不死を実現せんとして人体実験を繰り返していたのです。そして現在、ブラドは一時的にコンピューターとなり、生き長らえているのです。ああ、何ということでしょう!人々から尊敬を集めていたブラドが、大量に人を殺しているグラップラーの首領だったとは!環境汚染に取り組むブラドの姿勢は評価できますが、だからと言って人間を大量に殺してよいものか。もしかしたら、ブラドにとっては環境こそが大事であり、人間の命など何とも思っていなかったのかもしれません。環境問題が声高に叫ばれる現在において、その価値を失わない1本であると言えましょう。

<スタッフ>
発売元・データイースト、プロデューサー・桝田省治、キャラクターデザイン・山本貴嗣、音楽・門倉聡

(文:コートク)