「ならでは」の成果を出す20冊 −役職別 鉄則本ガイド【女性キャリア】

■嫌だった異動も、やがて「財産」になった

入社直後の配属は役員秘書。灰皿洗いやお茶汲みの毎日でした。雇用機会均等法施行後は総合職に転換しましたが、まだ組織内で女性の扱い方が定まらない時代。頻繁な異動で思うように実績も挙げられず、昇進もできない焦燥感から転職を考えたこともありました。

しかし、今振り返れば、会社生活に無駄はありません。嫌だった異動も、社内に相談相手が増えてプラスになりました。『人財革命』には「社長の気持ちになって考えてみると、いろいろ見えないものが見えてくるはず」など、若いうちから読んでおきたいことが詰まっていて、職場での心の持ちようや振る舞い方に役立ちます。

『人財革命』橘・フクシマ・咲江/祥伝社
会社の財(たから)となる人材とは──女性キャリアの先駆けである著者が、世界で活躍するビジネスパーソンになるために必要な意識改革の方法を説く。

昔、ある上司から「会社という組織の中で評価される働き方をしろ」と言われました。概して女性は、自分に能力があって、がんばりさえすれば道は開けると考えがちですが、自分1人の力で仕事が回るわけではありません。会社は、ビジョンを掲げてチームを引っ張り、チーム全体として成果を挙げる組織。その中で評価される働き方が大事なのです。これからの女性たちには「人間を動かす」力が求められます。泣いて上司に訴えてもダメ。組織人として評価され、組織を動かせる人、つまりリーダーシップを発揮してもらいたいと期待しています。『リーダーが身につけたい25のこと』は、リーダーとしての振る舞い方や自身のコントロール方法が具体的に書かれています。リーダーシップといっても大それた話ではありません。同書によれば、デートに誘うのも「今日は焼き肉だ」と家族に提案するのもすべてリーダーシップ。どんな場面にもリーダーはいるのであって、早いうちから意識しておきたい力です。

『リーダーが身につけたい25のこと』鈴木義幸/ディスカヴァー21
リーダーシップとは、1人では実現できない何かの実現を願い、他者に協力を仰ぎ、その実現を目指す力。誰にとっても役立つその能力の磨き方を学べる。

2011年、当社の創業80周年を機に企業理念を見直す仕事を担当しました。その際に作成した4つの心構えの1つに「熟慮断行」がありますが、その大切さを再認識したのが『坂の上の雲』です。世界に追いつき、追い越そうとする当時の日本人の気概の素晴らしさ。そして後半の海軍と陸軍のやり方の違いを見るにつけ、考え抜いたベストの策をぶれなく実行することの大切さを感じました。今の日本に不安を覚えることがあっても、これを読めば「よし、できるぞ」と前向きになれます。男性に人気の高い作品ですが、組織やビジネスに男性も女性もありません。女性にとっても、未来への希望と元気をもらえる一冊です。

『坂の上の雲』司馬遼太郎/文春文庫
日本が世界に追いつこうとした時代、日本人はいかに生きたか。当時の人々の気概、海軍の組織としての戦略の立て方などマネジメント論としても興味深い。

『フラット化する世界』T・フリードマン/日本経済新聞社
インターネットの発達や中国・インドの成長により「フラット」化された世界で企業が競争に勝つ方法とは? 現代の世界経済の概要を把握するのに役立つ。

『戦略不全の因果』三品和広/東洋経済新報社
持続的な成長ができない企業は「戦略が不全」。機能していないのだ。他社と戦うのではなく自社の「事業立地」(誰に何を売るか)こそ最大の戦略であるとする。

『わが経営』ジャック・ウェルチほか/日本経済新聞社
GEを世界最強の企業に変えた男、ウェルチの自叙伝。「企業の理念に合わない人材は抜擢しないなど、企業風土をとても大切にする点に共感しました」。

『リーダーは自然体』増田弥生、金井壽宏/光文社新書
ナイキなどでグローバルリーダーを務めた著者は「おせっかいな普通のおばさん」として自然にリーダーシップを発揮。リーダーの多様さを教えてくれる。

『もしもウサギにコーチがいたら』伊藤守/だいわ文庫
カメに負けたウサギを導く体裁で、部下の創造性、自発性を引き出すコーチングの方法をアドバイス。「双方向」のやり取りの大切さに気づかせてくれる。

『その「記者会見」間違ってます!』中島茂/日本経済新聞出版社
不祥事への対応は企業の存亡に直結する。平時の備えから緊急時の情報発信、弁護士の活用法、記者会見の開き方まで、危機管理広報の心構えが身につく。

『ビジョナリーカンパニー』ジェームズ・C・コリンズほか/日経BP出版センター
ビジョナリーカンパニーとは時代を超え存続する一流企業。そこでは社員が優れた基本理念に沿って行動する。「企業理念の重みを再確認しました」。

『ブランド・エクイティ戦略』D・A・アーカー/ダイヤモンド社
企業にとってブランドは資産(エクイティ)となるもの。では、その価値は何によって決まるのか、どうすれば高まるのかを、事例をもとにわかりやすく解説。

『コーポレート・アイデンティティ戦略』中西元男/誠文堂新光社
ブランド名、ロゴなどの「コーポレート・アイデンティティ(CI)」は、企業の特徴や理念を表すもの。その変更には、経営戦略など幅広い視点が必須だ。

『生物多様性経営』足立直樹/日本経済新聞出版社
ポスト石油の時代、バイオ燃料などの「生物資源」を活用し、持続的に成長するために企業は何をすべきか。進化と共生の両立可能なビジネスモデルを提示。

『持続可能な未来へ』ピーター・センゲほか/日本経済新聞出版社
環境を汚さない「循環型経済」実現には何をすべきか? コカ・コーラなどの先進事例も紹介し、環境経営は採算が合わないという先入観を打破してくれる。

『環境経営イノベーションの理論と実践』植田和弘ほか/中央経済社
環境経営イノベーションとは、環境に配慮した経営を行う中で新しい価値が生まれ競争力を獲得すること。リコー、積水化学など先進企業の取り組みも紹介。

『世界をちょっとでもよくしたい』兵藤智佳ほか/早稲田大学出版部
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンターで活動する学生たちの物語。「現代の若者は覇気がないといわれますが、彼らの熱い挑戦を見てほしいです」。

『蒼穹の昴』浅田次郎/講談社文庫
中国・清朝末期、貧しい家に生まれた幼なじみの2人の少年は、敵味方となって権力への道を目指していく。歴史の激流を懸命に生きる男たちの壮大な物語。

『近松門左衛門集』日本古典文学全集/小学館
「曾根崎心中」や「国姓爺合戦」で知られる人形浄瑠璃・歌舞伎作者の作品集。緻密な人情描写が感動を呼ぶ。教養として押さえておきたい古典のひとつ。

『着物と日本の色(帯の配色篇)』弓岡勝美・編/ヒエ・ブックス
アンティークの帯の華麗な彩色を紹介。「趣味で習い始めた『佐賀錦』の配色の参考にしています。仕事以外の人間関係を持つと人生の幅が広がりますね」。

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ブリヂストン環境担当執行役員
江藤尚美
1956年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、ブリヂストン入社。広報・宣伝部長などを経て2009年より執行役員。

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(ブリヂストン環境担当執行役員 江藤尚美 構成=斎藤栄一郎 撮影=大沢尚芳)