POINT:『これだけ!TOEICテスト総合対策 初めて〜650点(新テスト対応版)』

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TOEICを昇進基準にする企業はますます増えるばかり。海外経験ゼロの中高年は一体何から始めればよいのか。効率よく力がつく参考書と学習法を紹介しよう。

■知らない単語は聞き取れない!

「課長昇進は600点、部長であれば800点」といった形で、TOEICのスコアを昇進基準にする企業が急増しています。「大学受験以来、英語にまったく触れていない」と頭を抱える方もいらっしゃるようですが、とにかく短期間で目標スコアを目指すしかありません。

模擬試験とその解説だけが掲載されている参考書は初心者の方にお勧めできません。問題を解く前に試験の形式や傾向を知り、対策を練る必要があるからです。

まず、600点レベルを目指す方にお勧めする本は、拙著『これだけ! TOEICテスト総合対策』です。本書ではまず出題傾向と対策を説明しています。

「Part 5では先に選択肢に目を通し、設問のポイントを把握して解答する」

「Part 7では先に設問を読む」といった受験上のテクニックやリーディングテストの時間配分についても説明してあります。この本の練習問題は最低2回繰り返して、学習内容を定着させてください。

『これだけ!TOEICテスト総合対策 初めて〜650点』
[著]菊間ひろみ(あさ出版)
『公式問題集』を基に問題の種類を分類、系統的に試験に必要な力が身につけられるように作成。200問の模擬試験を掲載。CD2枚付き。

このレベルの方はリスニングに苦しむケースが多い。今まで英語をほとんど聞いてこなかった人も多いので当然ですが、大きく伸びる可能性も高いパートなので、ぜひ注力してほしいところです。そこで制作したのが拙著『これだけ! TOEICテスト リスニング完全対策』です。

リスニングが伸びないのは、単語が「聞き取れない」という原因が大きいのですが、それ以前に単語そのものを「知らない」ケースが多い。要するにボキャブラリーが足りないのです。当たり前のことですが、知らない単語は絶対に聞き取れません。

そこでこの本では、リスニングと単語の本をドッキングさせました。必要な語彙を先に覚えてから問題に取り組めるようにし、リスニング力アップと同時に語彙も増やせるようにしたのです。問題文に出てくる重要単語句をKey Vocabula ryの欄で紹介し、それらを先に覚えてから問題に進めるので、初心者も無理なく問題に取り組めます。重要語句は記憶しやすいようにパターンやトピック別に整理して提示し、さらに付属の赤シートでは赤字の英語が消えるようにし、日本語訳でなく英語を覚えてもらうよう工夫しました。日本語を見てすぐに英語が言えるくらいでないと、リスニングに対応できる語彙にはならないからです。

たとえ見てわかる単語でも「発音できないと聞き取れない」ケースが多いことも念頭においてください。英語の特徴のひとつに「リエゾン」があります。単語の最後が子音で終わり、次の単語の最初が母音で始まるとき、音をつなげて発音するため日本人には聞き取りにくい。たとえば、「get away」は、「ゲラウェイ」に近い発音になります。付属のCDを聞きながら、なるべくCDに近い発音でリスニングの原稿を音読してみてください。スムーズに音読できるようになるにつれて、リスニングの力が伸びていくのを実感するはずです。

付属CDの録音スピードは、本番のテストより少しゆっくりです。現在300点くらいの方であっても達成感が得られるようにつくっています。ページが進むごとに難易度は少しずつ上がります。

『これだけ!TOEICテストリスニング完全対策』
[著]菊間ひろみ(あさ出版)
「出題頻度の高い単語を聴く」「やさしい問題から始めてレベルアップ」「模擬試験」を繰り返す。CD3枚と暗記シート付き。

リーディングに関してお勧めの本は、『ゼロからはじめる新TOEICテスト リーディング』。これは、大学受験の大手予備校講師による参考書です。

この本に関して注目すべきは「スラッシュ・リーディング」の部分。これは英文を意味の固まりで区切って前から理解していく方法です。受験勉強の弊害で、英文を後ろから読もうとする人が多い。そもそも英文を「前から読む」という鉄則を知っている人はごく一部なのです。英文を後ろから読んでいては決して英語は伸びません。「前から理解する」技術は、リスニングでも不可欠です。なぜなら、英文を前から理解できなければ、「聞こえてきた単語の順に理解する」リスニングには到底太刀打ちできないからです。

この本には文法の解説もありますが、自分がわからないと思うところだけ読めば十分です。目標600点なら中学生レベルの文法力があれば短期間のうちにクリアできるでしょう。

『ゼロからはじめる新TOEICテストリーディング』
[著]大岩秀樹[監修]安河内哲也(中経出版)
受験式に英文を後ろから読むのではなく、「前から意味を理解していく力」を養成する。そのメソッドを活用しながら実践練習する。

■800点レベルなら「英語に慣れる」練習も

800点レベルを目指す方なら基礎はそれなりにできているはず。このレベルの方は『新公式問題集』だけをやってください。他の参考書は必要ありません。

これはTOEICテストの制作機関が制作した公式の問題集で、今のところ、vol.1〜vol.4まで出ていますがvol.1はマイナーチェンジ以前のものなので、最新の「vol.4」から始め、余裕があれば、「vol.3」「vol.2」に進むのがいいと思います。価格は少し高めですが、他の市販のテキストにはTOEICに出題されないような問題が含まれていることもあるので、とにかく新公式問題集を少なくとも2セットはやるべきです。

ただし、このレベルの方は、問題集や参考書ばかりを開くのではなく、長文を読んだり聞いたりすることに慣れることが絶対に必要です。お勧めは、リーディング力を伸ばすなら英字新聞、リスニングならNHKのテレビ語学講座「実践ビジネス英語」「攻略!英語リスニング」など。これらを使ってどんどん英語のスタミナをつけてください。長時間の試験で集中力を切らさないためにも、とにかく長文に対する抵抗感をなくし、英語に親しんでほしい。ちょっとした空き時間に読んだり聞いたりできる英文を常時携帯するのをお勧めします。

たとえスコア取得に昇進がかかっているとしてもテスト対策だけでは本当の意味での英語力はつきません。スコアは結果であって最終目的でないことを心に留めながら勉強してほしいと思います。

『TOEICテスト新公式問題集vol.2・3・4』
(財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)
TOEICの制作機関ETSが発行する唯一のオフィシャル問題集。テスト2回分(400問)の問題を収録。別添の「解答・解説編」には2回分のテストの解答・解説・和訳と、参考スコア換算表が付く。各巻ともCD2枚付き。

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オーティーシー 主任コーディネーター 
菊間ひろみ
茨城大学卒、米国ペンシルベニア州立大学大学院に留学。オーティーシーでTOEICの教材開発、企業や大学でTOEICや英会話の研修を担当。

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(オーティーシー 主任コーディネーター 菊間ひろみ 構成=金澤 匠 撮影(教材)=澁谷高晴)