会議は必要最低限のみ出席※

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▼慶應義塾大学大学院特任准教授 ジョン・キムさんからのアドバイス

車の運転には3つの要素が重要です。1つ目は、目的地が決定されていること。2つ目はハンドリングで、方向がブレないように絶えず軌道修正すること。そして3つ目が速度です。のろのろ運転していると、なかなか目的地にたどり着きません。しかしスピードを上げるとハンドリングが難しくなり、一瞬の気の緩みが事故へとつながっていく。まさに速度と集中力はイコールといっていい。

人生も同じようなものです。目標に向かって速度を上げていけば、それだけ集中力が必要になります。自分の人生を日々、ハンドリングしていく中で、いかに緊張感を持って一瞬一瞬に集中できるか。それを意識している人は、密度の濃い時間を生きているといえます。

たとえば私は、2時間の会議にはなるべく出席しないようにしています。2時間と予定されていると、2時間かけて目的地にたどり着くようなレベルの濃度にしかならない。もし自分が同じ内容の会議を企画するなら、15分で終わらせます。そのぶん高い集中力を出席者に要求することになりますが、私はそれが出席者に対する誠実さだと考えます。

人間には生まれてくる順番はあっても、死ぬ順番はありません。誰がいつ死んでもおかしくないのだから、人の時間はもちろん、自分の時間も1秒たりともムダにすることは許されない。時間に対する緊張感は、命に対する緊張感なのです。

緊張感を持って瞬間を生きている人は、たとえ社会人1年目であっても、鬼気迫るものを感じさせます。人はそうした相手に出会うと、「自分の権威で振り回していい相手ではない」と本能で察知します。そして尊重しようとする。集中力は、仕事の効率を高めるためだけのものではありません。媚びない自分をつくるためのものでもあるのです。

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慶應義塾大学大学院特任准教授 
ジョン・キム
1973年、韓国生まれ。日本に国費留学。英オックスフォード大学客員上席研究員、米ハーバード大学客員研究員を歴任。独自の哲学と生き方論が支持を集める。

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▼坂之上洋子さんからのアドバイス

集中力がない私が最近はまっているのは、歩きながらのミーティングです。集合場所は、代々木公園。ロッカーやシャワー付きのカフェがあるのです。歩きながらの会議は集中力が途切れず、とても気持ちがいいものです。おそらく有酸素運動が脳によい刺激を与えるのだと思います。新しいアイデアが次々に湧いたり、話がポジティブな方向に進むので、ぜひおすすめしたいと思います。

アメリカに住んでいたとき、周囲のエグゼクティブたちは、忙しい仕事の合間をぬって運動をしていました。どうして、あんなに体を鍛えるのか不思議に思い、友人の社長に聞いたところ、苦しい決断をしなくてはならないときにも、それに耐えうる体をつくっておかないと決断が鈍くなってしまうからだ、と教えてくれました。自分の体の維持を意識していないと日夜どんどん変化する新しいビジネス環境についていけなくなるからね、という話もしてくれました。

若いときにはよくわかりませんでしたが、年をとれば誰でも体力が下り坂になります。私は基本、運動が大嫌いな人間なので、いまは体力を落とさないように気をつけています。

その意味でも、早歩きミーティングはおすすめです。だまされたと思って、ぜひ試してみてください。話をしながら、アイデアを考えながら歩くので、1人では決して歩けない距離が簡単に歩けてしまうのも魅力です。

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坂之上洋子
米国と北京で15年以上生活後、東京へ。ブランド戦略、企業の経営戦略、NPO戦略等多方面で活躍中。建築デザイナーとしての受賞歴を持ち、「Newsweek」の世界が認めた日本女性100人の1人。著書に、人気のtweetを集めた『結婚のずっと前』。

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(図版※注:gooリサーチと本誌編集部の共同調査により、「時間とお金」に関するアンケートを、2011年11月15〜17日の期間で実施。個人年収500万円台と1500万円以上のビジネスパーソン計613人の有効回答を得た。)

(慶應義塾大学大学院特任准教授 ジョン・キム、坂之上洋子 構成=村上 敬 撮影=葛西亜理沙)