今回の税制改正の?目玉?とも言われる「住宅ローン減税」。住宅は一生に一度の大きな買い物。その恩恵には最大限にあずかりたい。そして、消費税の増税と天秤にかけての買い時は……!?

岩佐真由美

 第2講は今回の税制改正の中で最もややこしい住宅ローン減税についてです。10年程度は減税額が変わっても仕組みは変わらないと思いますので、すぐに住宅を買う予定がなくても、知っておいて損はありません。

 最初に押さえておきたいポイントは、不動産購入の際、消費税は建物だけに課税されるという点。土地には消費税はかかりません。

 例えば、総額5000万円、建物部分が3000万円の物件なら、消費税5%なら150万円、8%なら240万円、10%だと300万円になります。100万円単位での増額を見てしまうと、不動産業者が言う「増税前がチャンス」「今こそ買い時」という言葉の説得力も増しますよね。

 しかし、これでは駆け込み需要が殺到し、第1講で述べたように景気の冷え込みが起きてしまいます。そこである意味、駆け込みを防ごうと登場したのが、今回の住宅ローン減税というわけです。

 その内容は、簡単に言えば年末のローン残高の1%が所得税額から控除されるというもの。この割合は昔から同じなのですが、対象となるローン残高が現在の最高2000万円から4000万円へと拡充されました。よって、最高減税額も年間最高20万円から40万円へと倍増。最長10年間受けられますので、最大400万円の減税となるわけです。消費税の増税分を相殺するのに、十分なパワーがありますよね。

図3◉住宅ローン減税は大幅拡充

※4000万円以上の住宅ローンを組んだ場合。年末のローン残高が減ると減税額も減額

■節税効果が大きい「税額控除」の対象

 税務のスペシャリストの間では、今回の住宅ローン減税は?大盤振る舞い?とも言われます。なぜかと言えば、先ほどローン残高の1%が控除されると述べましたが、それがそのまま減税額につながり、高い減税効果を得られるからです。

 そもそも皆さんも年末調整などの時に耳にする「控除」というものには、2つの方式があります。ひとつが「所得控除」と呼ばれるもので、もうひとつが「税額控除」です。

「所得控除」の代表的なものは基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など。所得から差っ引かれるもので、所得が減るという意味での減税効果はありますが、大きな減税額にはなりません。

 例えば、生命保険料控除が5万円あったとしても、所得税率5%の人なら、2500円の減税にすぎません。

 しかし、「税額控除」は所得税額から控除されるため、控除額がそのまま減税額となります。住宅ローン減税は、この「税額控除」が適用されるため、大きな節税効果が得られるわけです。

 しかも、所得税額を控除額が上回る場合は、13万6000円を上限に住民税から控除することも決まっているほか、さらに控除額が上回る場合は現金やポイントで還元する方法まで検討されているため、かなり大きな恩恵と言えます。

 では、現在の住宅ローン減税と比べて、改正後は具体的にどれぐらいの節税効果が得られるのか。所得税や住民税は年収によって異なりますので、その恩恵額も異なります。

 図4に、年収400万円、年収700万円、年収1000万円の人が、年末に4000万円以上のローン残高があった時の減税額をざっくりと試算したものをまとめてみました。

図4◉住宅ローン減税の年収別シミュレーション

※ローン残高4000万円以上のケース。収入は全額給与所得、
控除は社会保険料控除と配偶者控除と基礎控除

■97年の増税時には1年後に5%も下落

 改正前と後の税額の差は、年収400万円の人で3万8500円、年収700万円なら18万6750円、年収1000万円なら満額の20万円の差となります。これが最長10年間なので、それぞれ38万5000円、186万7500円、200万円の減税効果があるわけです。もっとも10年後も4000万円のローン残高があるような物件は、相当な高額物件になってしまいますが……。

 とはいえ、消費税が建物だけにしかかからない点をふまえると、消費税の増税による負担増と住宅ローン減税による負担減を比較した場合、一概には断定できませんが、増税後のほうがお得と言えるケースが多くなりそうです。

大倉奈々

 また、97年の3%から5%への消費税の増税時には大きな値崩れも起きています。平均価格は97年からの1年間で約5%も下がりました。長期的にも住宅の供給過多、人口減少ということがあるので、下落幅は前回を上回る可能性もあります。

 底値を見極めるのは難しいものですが、前回同様、増税後1年程度は様子を見るとすれば、今から2年後ぐらいがひとつの買い時の目安なのかもしれません。