[其ノ一 株ファンダ編]含み資産株フィーバー!でも、本当に ?益〞を含んでいるの!?
金利が上がり、不動産の価値が上がり…というリフレ政策スタートとともに爆発的な上昇を見せた「含み資産株」。玉石混交のようですが、ダイヤはどれだ?


?持ち物〞の価値とバランスで、買える・買えないの線引きを!

日本に待望(?)のリフレ派日銀総裁&副総裁が誕生しました。安倍総理が約束してきた通りとはいえ、その約束に?期待〞して脱デフレを見込んだ物色が花開いたのは記憶に新しいところ。ここからはその真価が問われますが、仮に実行内容が?期待はずれ〞だったとしても?期待の芽〞がきれいさっぱり消えることはないようにも思われます。

脱デフレ期待で起きた最大のフィーバー現象は、土地やビル持ち企業を狙う「含み資産株」物色。元気な短期資金は、新興株の持つビジネスモデルより、古い企業の持つ土地などの?持ち物〞に焦点を当てて動きました。

ただし、不動産、そして倉庫、電鉄といった代表的な含み資産株は、「これでもか!」とばかりに、すでに買いあさられています。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)で見た割安感は皆無だし、何でもアリの側面も強く、最近では「アナリストの投資判断引き下げ」という形での警鐘も出始めています。ここからは?持ち物〞の価値と株価のバランスで、「まだ買える・もう買えない」の線引きが必要になりそうです。

含み資産には、貸借対照表に「土地」の勘定科目で明記される土地のほかに不動産があります。この不動産については、何でもアリ相場が過激化し、?やりすぎ〞状態を生んでいるような状況です。保有する不動産の価値は、時価会計ルールが適用された2010年3月期決算から開示されるようになりました。開示対象となるのは、?投資不動産、?遊休不動産、?賃貸用不動産の3つ。

たとえば含み資産株人気で東京ドームの株が急騰しましたが、同社にとっての東京ドームは事業用不動産です。含み益があっても売却するわけにはいかないので、実質的には含み資産株にカウントされない銘柄。何でもアリの初動局面は、こういった点はまるで考慮しません。含み不動産の時価についてもほとんど無視されます。一歩下がって含み益と株式時価を比較する冷静さが求められるところです。

賃貸用不動産に含み益がたっぷりあるとされる電鉄株、倉庫株の具体例を右ページの表で見てみましょう。いずれも2013年3月末時点での時価のため変動しますが、参考にはなるかと思います。

この表の中では、電鉄株高で一緒に急騰した近鉄がいい例でしょう。同社の2013年3月末時点の不動産含み益は1億円にも満たないわけで、他の電鉄株に対して?やりすぎ〞感が浮上します。その一方で、倉庫株では、株式の時価総額より含み益のほうが大きい三井倉庫が割安に映りますね。

含み益のたっぷり乗った不動産を持っている企業は、いざというときに売却すれば利益を確保できるため、財務面で余裕があります。5月の本決算発表時に不動産の新しい時価が開示されることになりますが、業績予想以上に注目されるのがこの保有不動産の時価でしょう。

あとは、含み資産株に高値警戒感を抱く場合、含み益の多い企業をロング(買い)、少ない企業をショート(カラ売り)する戦略も有効といえそうです。





【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年6月号」に掲載されたものです。