このところ、税制関連のイベントはどこも活況を呈している。税に対する世間の関心は高まるばかりだ。それもそのはず、暮らしに直結する税制改正が今後も目白押し。はたしてどんな影響があるのか。税理士でファイナンシャルプランナーの田中卓也氏は言う。「特に負担が大きくなるのは富裕層や高所得者です。典型的なのは、2015年1月から実施される相続税の基礎控除4割減。課税対象者が増え、納税額もかさむことになります」。

 同じ15年1月からは、相続税、贈与税、所得税の最高税率もアップする。これも富裕層が対象だ。また、高所得のサラリーマンにとっては、給与所得控除の改正が痛い。改正前は、控除額が収入金額に応じて無制限に上がっていた。改正後は、収入が1500万円を超えると、控除額が一律245万円に制限されてしまう。

 もちろん、負担がきつくなるのは高所得者だけではない。消費税が上がれば、生活必需品への支出の割合が高い低所得者ほど負担が重くなる。「逆進性」と呼ばれる消費税の特徴だ。

 このように増税が進む一方で、「アメ」としての減税策も用意されている。住宅ローン減税の延長が決まり、消費税が8%になる予定の14年4月からは、控除額が拡充されることになった。10年間で最大400万円の控除が受けられるようになる。相続税や贈与税が増税される15年1月からは、次のような減税策が始まる。

▼相続財産の評価額を下げる「小規模宅地等の特例」で、対象となる宅地面積の上限が240平方メートルから330平方メートルに拡大。大きな家も相続しやすくなる。

▼一度に多額の現金を贈与する「相続時精算課税制度」。適用の範囲が「65歳以上の父母→20歳以上の子」から「60歳以上の父母・祖父母→20歳以上の子・孫」に広げられる。

▼祖父母や親が、20歳以上の子や孫へ贈与する際の贈与税率が引き下げられる。たとえば400万円の贈与なら、現在20%の税率が15%となる。

 4月からスタートした祖父母から孫への教育資金の一括贈与(孫一人あたり1500万円)も、相続税対策として有効だ。世代間の資産移転にもつながる。

 投資をする人なら「少額上場株式等の非課税制度NISA(ニーサ・日本版ISA)」もおさえておきたい。14年1月から株式などのもうけにかかる税率が10%から20%に上がる。その“見返り”として導入される制度だ。年100万円までの投資に対し、配当や売却益に税金がかからなくなる。ただし、専用の口座をつくるなど準備が必要だ。

 節税のヒントはまだある。12年1月から生命保険料控除の内容が変更され、最大12万円の所得税控除を受けられるようになったのはご存じだろうか。またサラリーマンが「経費」を計上して税額を抑える特定支出控除では、改正によって経費とみなせる項目が増え、控除額の計算方法も納税者にお得になっている。

 税制改正が相次ぐ今は、身のまわりの税を見つめ直す良い機会なのかもしれない。前出の田中氏は言う。

「たとえば税理士の活用法にしても、今までは相続が発生して初めて相談する方が多かったと思います。ですが、どうせ相談するなら、住宅取得や相続対策から税理士を活用する。その中で節税策も講じる。そんなふうに、積極的に税金について考えることも今後は必要ではないでしょうか」

 税を使いこなすか、それとも税にのみ込まれるか。そこを分けるのは、正しい理解と節税テクだ。税との良い付き合い方を、ぜひ本誌特集で見つけてほしい。

週刊朝日 2013年5月24日号