外国人投資家はROE(自己資本利益率)が好きと、昔からいわれている。確かに、海外勢の買いで相場が上昇した局面を振り返ると、最もよく上がったのは低RER株でも高配当利回り株でもなく、高ROE株だった。
ROEを高めるには、自己資本をそこそこの水準に抑えながら、高い利益を上げなければならない。それには、利益が出ても内部留保は必要最小限にとどめ、残りを配当や自社株買いでさっさと投資家に還元してしまう必要がある。海外では常識の株主最優先主義を実践するわけだ。



買いグセ? 新興中小型株のレア買い
大型株の次は中小型株。買える銘柄は限定的
大型株の値上がりが鈍ってくると、次は中小型株に資金が流入することになるはずだ。大型株は比較的まんべんなく海外勢が株主になっているのに対して、新興市場銘柄では、外国人投資家の持ち株比率が1%にも届かない銘柄と、20%、30%と保有されている銘柄に分かれる。つまり、海外勢が手を出す銘柄と出さない銘柄ははっきり二分されているのだ。
当然、買いを入れたいのは外国人投資家に支持された銘柄。買いが入っていない銘柄には、財務内容や情報開示などに何らかの不満を持たれた可能性がある。



買いグセ? 連続的に買い増し
海外勢はトレンド追随型。外国投信は大量買いも
海外勢の中でも年金基金や投信をはじめとする中長期投資家が日本株の保有額を増やす場合、いたずらに銘柄を増やすのではなく、まず手持ち銘柄の買い増しに動く。海外勢はトレンドフォロー、つまり株価上昇が続く限り買うクセがある。
そこで参考になるのが、大量保有報告書や有価証券報告書。買い増しが確認された銘柄には、追加の買い増しが入る公算が大きい。特に海外投信は総発行株式数の6〜7%など、日本の運用会社ではありえない大量買いに動くこともあるので、マークしておきたい。



※株価と配当利回り(予想値)は4月8日現在。GM=ゼネラル・モーターズ、GE=ゼネラル・エレクトリック。

植草 まさし(うえくさ・まさし)

外資系証券を経て独立。兜町、日本橋界隈を練り歩いて取材し、濃い株式情報を集める毎日。



この記事は「WEBネットマネー2013年6月号」に掲載されたものです。