IMV株式会社

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理系のシゴトバ

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 今回の訪問先 【IMV 技術本部 第一技術部】 
自動車や電子機器などのモノづくりの過程ではさまざまな試験が行われます。その中の一つに振動試験があります。振動試験とはその名のとおり、その製品が実際に使われる環境で起こるであろう振動を再現して、本当に耐えられるかどうかを評価するための装置です。例えば国内で走っている乗用車の平均車齢は、約8年(※)、貨物車は約10年。自動車で酔う人がいることからもわかるように、自動車走行には振動が付き物です。つまり振動の影響を受けながら先のような長い年月における信頼性を確保するため、自動車メーカーや自動車部品メーカーにおいては、さまざまな振動環境を想定した試験が繰り返し行われているということなのです。このような工業製品の信頼性確保に欠かせない振動試験装置を開発、製造しているのがIMVです。IMVが設立されたのは1957年(当時の社名は国際機械振動研究所。その英文表記「International Mechanical Vibration」の頭文字をとったものが現在の社名となっている)。以来振動を中心とした環境試験、計測・解析の分野で事業を展開、日本のモノづくり産業の品質、信頼性をサポートしてきました。近年、IMVでは試験装置メーカーとしてだけではなく、振動試験問題を解決するテストおよびソリューションサービスも提供しています。今回は振動装置の開発を手がけているIMV 技術本部 第一技術部のシゴトバを訪れました。
※自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」より
 

■ モノづくりの現場には欠かせない振動試験装置の設計

技術本部 第一技術部はIMVの主力製品である振動試験装置の設計を担当している部署です。そのオフィスは、大阪市西淀川区のIMV本社ビル内にありました。IMV本社の最寄り駅であるJR東西線加島駅まではJR大阪駅から約20分。そこから5分ほど歩けばIMV本社に着きます。西淀川区は区が誕生した当時から大阪市有数の工業地帯として発展してきました。IMV本社周辺も、大小さまざまな工場が並んでいました。

 

技術本部 第一技術部の仕事を紹介してくれたのは、第一技術部 第一技術課の岡田哲哉さんです。
「私が担当しているのは振動試験機の機械設計。同じ部署内には振動試験機の電気設計を担当している人もいます」(岡田さん)
以下の写真は第一技術部の執務エリアです。設計のメンバーは一日の大半の時間をここで過ごしているそうです。
「私たち設計者は、営業がお客さまにヒアリングして得た仕様を基に図面を描き、それを購買部門に回すまでを担当します。通常、工業製品を設計開発する場合、試作・改良を何度か繰り返して生産に至りますが、私たちの場合、一発で設計をして購買に回すことがほとんど。とはいえそれで終わりというわけではありません。組み立てや性能試験に立ち合うため、本社に併設されている工場に出向くことも多いですね」(岡田さん)

 

振動試験装置です。
「振動試験装置とひと口に言っても、写真のように車や車両のような大きなものを試験する大型の装置から、ポータブル音楽プレーヤーのような小さなものを試験する小型の装置までさまざまな大きさの装置があります。現実の振動は上下や左右というような単一の方向(1軸)ではありません。上下と左右が合わさったり(2軸)、さらに斜め方向が加わったり(3軸)、複雑なもの。つまり現実に近い振動を再現しようとすると、3次元同時で動くような装置を作らなければなりません。工業製品の信頼性や安全性を確保するため、振動試験装置に求められる仕様は、年々厳しくなっています」(岡田さん)

 

自席のCADを使って図面を描いているところです。
「試験機本体の機構に加え、例えば垂直補助テーブルや水平補助テーブルなど本体周辺についてくる部品も設計します。通常、振動試験機は受注してから約3カ月で納品に至ります。ベースとなる機種を基に、お客さまの要望を入れ込んで作っていくんです。だから大きい装置を設計することもあれば、小さい装置を設計することもある。それぞれ難しさが異なるのが、面白いところです。大きい装置の場合は、例えば振動数(周波数とも言う。1秒間に繰り返される電気振動の回数)が上がらず、強度を強くしようとすると、逆に重たくなりすぎて強度が出なくなったり、振動数の調整をしたりするのが難しい。一方小さくなると、限られたスペースの中にさまざまな部品を配置しなければなりません。大きさに限らず、部品点数は同じ。だから小さくなると難しいんです」(岡田さん)

 

お客さまの要求事項に対して満足するモノを作るのはもちろんですが、できたモノがお客さまの作業性や安全性を損なうような作りになっていないか、また適正価格で提供できるよう無駄な部品がないか、さらには組み立てが無理なくできるかという点にも気を配って設計をしているそうです。

 

設計は各個人に任されているとはいえ、上司やメンバーとの打ち合わせも頻繁にあります。
「あらかじめここはこうするべきと決まっている部分もありますが、設計者の考えを入れられる部分も多分にあります。そのような自分の考えを入れるときは上司に相談し、よりよい方法を探ります。また最近は後輩も増えてきたので、後輩から相談を受けることも多いですね」(岡田さん)

 

写真は振動試験機の組み立て現場です。
「複雑な装置や新しい装置だと、組図を渡しても組み立て方がわからなかったりすることもあります。そんなときは現場に出向き、一緒に組み立てることもあります。スムーズに仕事をするためにも、日ごろから現場の人たちとの積極的なコミュニケーションは欠かせません」(岡田さん)

 

組み上がった製品は、本当に求められている性能が発揮できるかどうか、品質の検査を行った後、納品となります。
「品質検査を行うのは検査担当者です。設計者が品質検査の場面に立ち会うことはあまりありませんが、ごくまれに求められる性能(最大能力)が出ないことがあったりすると、検査担当者から連絡が入るので、品質検査に立ち会い、状況を確認します。どこに問題があるのか、検査担当者と共に検討し、仕様通りの最大能力が出るよう調整をします」(岡田さん)

 


■ ハタラクヒト 年齢の垣根なくコミュニケーションする和気あいあいとしたシゴトバ

 

引き続き岡田さんに「IMV 技術本部 第一技術部」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてお話をうかがいました。
岡田さんは大阪工業大学工学部を卒業後、2007年4月にIMVに入社しました。
「大学時代は機械材料研究室で、機械の強度に関する研究に携わっていました。就職先はモノ作りの会社がいいなと思っていましたが、特にこれを作りたいという強い気持ちはありませんでしたね。そんなとき、就職情報サイトでIMVを見つけたんです。振動試験機をはじめ“振動”という専門的でニッチな分野に特化した製品作りをしている。面白そうだなと思ったんです」
希望通りに機械設計を担当する第一技術部に配属され、以後、一貫して振動試験機の設計に携わってきました。

 

「当社の設計者は一人で丸々一つの振動試験機の設計を請け負います。そのため入社間もないころは、設計要素があまりない案件を担当。徐々に設計要素が増えていくという感じで、仕事に慣れていくんです。今では常に5〜6件のプロジェクトを抱えています」

 

振動試験機は一般的にはあまりなじみがあるものではありませんが、これがなければ自動車や電子機器などをはじめ、さまざまな工業製品の信頼性や品質を確保することができません。

 

日常よく使っている電気機器なども、うちの試験機を使って試験をしているんだと知って、より仕事に愛着がわきました。自分たちが作った試験機が、その製品の信頼性や品質を左右するかもしれません。それをどう設計するか、自分の考えを入れ込んで設計できるのがIMVの良さです。モノづくりの醍醐味(だいごみ)はなんといっても、自分が描いた図面がモノとしてでき上がってくること。自分の思い描いた通り、狙った通りのモノができ上がってきたときはもちろん、お客さまが満足している、喜んで使っているという話を営業から聞いたときが一番、この仕事をやっていてよかったなと思う瞬間です。機械の性能が出ず、何度も調査、調整を繰り返さなければならないこともありますが、上司をはじめ周囲の同僚など、いろいろな人が相談に乗ってくれるので働きやすいです」

 

岡田さんをはじめ、振動試験機の設計に携わっているメンバーのほとんどが、工学部の機械および電気電子系の出身者。

 

「基本的な工学の知識があれば、十分、やっていけると思います。シゴトバにはベテランの方もたくさんいるので、わからないことがあれば教えてもらうこともできます。年齢の垣根なく、コミュニケーションが活発。明るく風通しのよいシゴトバです」

■ お昼休みはテニスやゴルフでリフレッシュ

新設されたミーティングルームです。社内での会議に使用するのはもちろんですが、新製品の発表会などが行われることもあるそうです。

 

テニスコートです。お昼休みや就業後に気分転換を兼ねてテニスを楽しむ人もいるそうです。

 

屋上にはゴルフ練習場(2打席)がありました。ゴルフクラブやゴルフボールも用意されており、お昼休みや15時の休憩時間など、ちょっとした空き時間に利用する人もいるそうです。また屋上ではゴルフのほか、キャッチボールも楽しめるようになっていました。

 

 


■ IMVにまつわる3つの数字

1957年の設立以来、振動試験装置のメーカーとして、国内のモノづくり産業をサポートしてきたIMV。何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1.83パーセント

2.20〜20000ヘルツ

3.2809.8回

 

前回(Vol.81 澁谷工業株式会社)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美 撮影/池田ひらく