提供:週刊実話

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 山中は南京都高校でボクシングと出会った。3年生で臨んだ、とやま国体では、のちにWBC世界スーパーフェザー級王者となる粟生隆寛を決勝で敗り優勝している。他にも華やかなボクシング経歴をいくつも引っさげて、山中は専修大学へ進学しボクシング部主将を務めた。

 「高校のときはかなり練習しました。大学時代はその財産だけでやってましたね(笑)。練習しないので、負けることもあった。そのままプロに入ったから、序盤はいい動きがぜんぜんできなくて、とにかくごまかしが利かなくなったんです」

 −−それでも、プロデビューから今日まで無敗ですよね。
 「2回の引き分けがあるんですよ。それもダウンを取られての引き分け。自分の中であれは負けと同じ感覚でした。日本チャンピオンになるまでは、1回でも負けたら引退するつもりだったんです。だからその引き分け2回でかなり追い詰められました」

 −−たった1度の負けで引退は極端じゃないですか?
 「いまは違いますよ。でも、当時はそう決めてました。プロってけっこうそんなもんやと思います。1度負けるとモチベーションが切れるし、負けたボクサーはなかなか次の試合を組んでもらえない。1度の負けは確実に引退へ近づくんです。だから、2度の引き分けから日本チャンピオン戦までの期間で、かなり練習量が増えましたね」

 −−その結果、日本タイトル戦を挟んで、前々回の世界防衛戦まで9連続KO。しかも対戦相手は、すべてそのとき戦える最強ばかりでした。
 「そんなに強くない相手とマッチメイクされても、それは嫌なプレッシャーになるだけだと思うんですよ。みんな勝って当たり前と思いながら見るし、どんな倒し方をするのか、ただそれだけを期待されるような試合は辛いです」

 −−でも負ければそれで終わりの世界。できれば勝ちやすい相手と戦ったほうが楽ではないですか?
 「そうかもしれないし、ジム側はそう思ってるでしょう。でも対戦相手がそのとき最高に強いなら、きっと試合は盛り上がる。それに、強い相手と試合を組んでもらうことで自分自身をさらに強くできます。試合に向けての練習をしていても、普段より強くなっていくのを感じる。それは今回の試合でも、前回も前々回も同じです」