アメリカ3大市民マラソンのひとつボストンマラソンで爆発事件が起き、沿道で父親を応援していた8歳の男の子を含む3人が死亡し、140人以上がケガをしました。中国では上海を中心に鳥インフルエンザの拡大が止まらず、すでに16人が死亡し、ヒトからヒトへの感染も疑われています。

 私たちは無意識のうちに、今日と同じ平穏な日々がこれからも続くと思っています。だからこそ、その“常識”を覆すような特別な出来事にとても敏感です。

 これは、ヒトが長い進化の過程で生き延びるための必須の能力でした。しかしその結果、私たちはある特定のリスクだけを過大に評価するようになりました。

 もちろん、爆弾テロや鳥インフルを些細な出来事だといっているわけではありません。しかし、マスメディアがテロや感染症の恐怖をあまりにも言い立てると、深刻な二次災害を引き起こすことが知られています。

 2001年の9.11同時多発テロは、イスラム過激派のテロリストが4機の旅客機をハイジャックし、ニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンDCの国防総省(ペンタゴン)に激突させ、およそ3000人の死者を出した大惨事でした。

 旅客機の衝突で高層ビルが崩壊するという衝撃的な映像を繰り返し見せられたアメリカ人は、「飛行機は危険だ」と不安に感じ、長距離の移動にも“より安全な”車を使うようになりました。しかし現実には、車は飛行機よりもはるかに危険だったのです。

 アメリカでは、交通事故の死者は年間で6000人に1人です。それに比べて飛行機はきわめて安全な乗り物で、事故による死者は全世界で年間500〜1000人です。これを確率に直すと、毎日飛行機に乗ったとして、事故に遭うのはおよそ500年に1回になります。

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