カンヌへの思いを語った三池崇史監督

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第66回カンヌ映画祭のコンペティション部門に選出された「藁の楯 わらのたて」の三池崇史監督が、渡仏を前に2年ぶりとなる世界最大の映画の祭典への思いを語った。

「少しはこの映画の役に立てたかなという感触はあるけれど、映画ですので劇場に集まってくれる人たちが楽しんでもらえるといいなと。それ以上特に望むものはないので、誰よりも気楽でいます」。三池監督は、世界中の数百本の中から選出された栄誉を冷静に受け止めている。

コンペにはジョエル&イーサン・コーエン、ロマン・ポランスキー、スティーブン・ソダーバーグらカンヌで受賞経験のある巨匠たちが並ぶが、「お客さんとして楽しめる感じがありますよね」と臆するところはない。「でき上がったものが、そういう人たちと同じ場所、環境で上映されることは、我々スタッフ、キャストにとってはすごく幸せなこと。それを目標や目的にしてしまうと選ばれなかったり賞をもらえなければガッカリっていう、映画祭そのものを楽しめなくなってしまう。お祭りなので、そういう意味ではすごくいい立場です」と泰然自若の構えだ。

カンヌに初めて参加したのは2003年、「極道恐怖大劇場 牛頭」が監督週間に選出された時だった。日本のVシネマとして初の上映となったが、「涙が出ちゃうくらい観客が喜んでくれたんです。全く想像もしていなかった場所で想像もしていなかった人たちと一緒に楽しめるなんて、映画って捨てたもんじゃないなと。しかもVシネマですからね。生まれはどうでもいいんですよ。映画として面白いか、楽しんでくれる観客がいるかどうかだけを評価されるので、自分の中であの出来事はすごく大きかったですね」と感慨深げに振り返る。

今年の審査委員長はスティーブン・スピルバーグで、自身が初めて見た洋画が「激突!」(1971)だったことにも奇妙な縁を感じる。「個人的には、もう奇跡ですよね。それまでは東映まんがまつりや『ガメラ』『ゴジラ』を見ていましたから。たまたま父親が見に行こうと言い出して、2人で見たんですよ。『激突!』って劇場公開は日本だけだから、スピルバーグにとっても自分は貴重なお客さんですよ」とうれしそうに語った。

2011年には「一命」でコンペを初体験し、しかもカンヌでは初の3D上映となった。「藁の楯」もエンタテインメント性に富んだサスペンス・アクションだけに「ここまで(カンヌ)らしくないのは、(コンペでは)初めてじゃないですかね」と冗談めかす。それでも、「カンヌは、観客が先に着席して迎えてくれるのがいいですよ。意外だと思うかもしれないけれど、ジャンルや外見の作り手の差別化というより、映画のテーマはそんなにあるわけじゃなく、皆同じことを表現しているんだなということは伝わる気はします」とひそかな自信も見せる。

昨年は「愛と誠」のミッドナイト・スクリーニングが行われたが、スケジュールの都合で参加できなかったため、今回は2年分の思いを込めて現地入りする。そして、「勝負事ではないけれど、大沢たかおさんが賞をもらえるといいですね。比較的感情を抑えて、一瞬だけワーッという役なので、そういうところが評価されるとうれしいなとは思います」と共に参加する主演俳優に気遣いを見せていた。

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