オンライン上で高級ブランドのファミリーセールを実施しているGILT Groupe(ギルト・グループ)の創業から、わずか3年半で多くの顧客を抱える10億ドル企業に成長するまでを描いた本「GILT(ギルト)ー ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー」が、日経BP社より刊行された。2人の女性共同創業者アレクシスとアレクサンドラによる、アイディアからサービスを開始するまで4ヶ月というスタートアップのスピード感を追体験し、またオンラインセールの裏側を知る事ができる。(文・田中大輔)

【書評】2人の女性創業者によるセールサイト「GILT」のスタートアップの画像を拡大

 今でこそ利用者が多いファションECだが、アレクシスとアレクサンドラがサービスを開始した2007年当時は、インターネットで服を購入するという認識は浸透していなかった。ブランド側からも抵抗が強かったが、2人はその道をどう切り開き、半額以下で販売するオンライン上のタイムセールというビジネスモデルを確立していったのか。

 最初にセールを開催したのは、NYコレクションに参加している「Zac Posen(ザック・ポーゼン)」。ドレスの定価が1,500ドル〜2,000ドルの高級ブランドだ。イメージを損なうことなく過剰在庫を処分できるタイムセールは、ブランド側に大きなメリットがある。会員制というスタイルも功を奏し、「Zac Posen」のセールが成功してからは、ブランド側から次々に連絡があったという。その後、創業者の念願だった「Dolce&Gabbana(ドルチェ& ガッバーナ)」のセールも開催することができたそうだ。2009年には日本にも進出を果たした。

 この本は、まさにリスクを恐れずITとファッションの世界を変えた2人の女性のノンフィクション。驚きを与えるセールの仕組みと共に、バイラルマーケティングの力も興味深い。ファッションECの新しい取り組みやスタートアップを考えている人には必読の一冊だ。(文・田中大輔)