参院選に向けて打つ安倍首相の「次の一手」に注目

 現在の円安・株高がアベノミクスという政治主導で導かれたものならば、安倍首相の「次の一手」を読むべきだというのは、eワラント証券COOの土居雅紹氏だ。

「私は、安倍首相はかなりの野心家だと見ています。祖父・岸信介、大叔父・佐藤栄作の残した実績に比べると、アベノミクスが一定の成果を挙げたとはいえ、歴史に名を残すほどのことではない。安倍さんが今後、2人に並ぶほどのさらに大きな偉業を残したいと考えてもおかしくはない。その可能性として最も高いのが、日露関係の大きな改善にある、と見ています」

 実際、安倍首相はロシアとの平和条約締結に意欲を示しており、北方領土問題の進展も期待されている。日露関係の改善はロシア側にとっても待ち望んでいるものだという。

「今秋、ロシアのサンクトペテルブルクでG20サミットが開かれます。プーチン大統領も、この場で国際的に大きな成果を残したいはずで、参院選前の安倍さんの訪ロもありうる。つまり、対日関係の改善は両首脳にとって最高の演出となります」

◆日露を結ぶパイプラインは決して絵空事ではない◆

 もちろん、領土問題の解決は容易ではないが、政治的に日露関係の進展が見受けられるだけでも、経済面に及ぼす影響は大きいという。最も早く成果が期待できそうなのがエネルギー分野だ。

「ロシアは多量の天然ガス田を抱えていますが、欧州への輸出が減り、新たな大口の輸出先を探しています。一方、日本も脱原発の流れがあり、天然ガスの輸入を増やしたい。仮に、ロシアから樺太を通って北海道へとパイプラインでも建設されれば、両国経済にとって大きなプラス。決して絵空事ではありません」

 この世界的な大事業によって、業績アップが期待できる日本企業はどこか。

「ガス開発に大きな実績がある国際石油開発帝石やシームレスパイプ生産の新日鐵住金、また、建設機械のコマツなどは間違いなく関与してくると見てもいいでしょう。さらに、資源開発で忘れてはならないのが商社。三菱商事や丸紅などがこの分野に明るく、実現に向けて大きな役割を果たすことになるでしょうし、業績への影響も期待できるでしょう」

 今国会の所信表明演説でも、改めて外交や領土問題の解決に意欲を示した安倍首相。日露関係の進展は経済的にも大きな意義があると言えそうだ。

表

※表の掲載は企業コード順。株価は2月4日時点のもの。

土居雅紹

土居雅紹
■eワラント証券COO

1964年静岡県生まれ。大和証券、大蔵省財政金融研究所、ゴールドマン・サックス(GS)証券などを経て現職。GS時代にオプション取引に似た商品の「eワラント」を開発。